日立製作所は創業100周年を記念したイベント「日立 uValue コンベンション 2010」を7月22日から開催。同社 執行役社長 中西宏明氏が「日立グループが挑む社会イノベーション」と題した基調講演を行い、これまでの同社の歩みを説明するとともに、"次の100年"に向けた日立グループの方向性を具体的に示した。

新興国での社会インフラ整備が急務に

日立製作所 執行役社長 中西宏明氏

中西氏は冒頭で、1960年代以降の日本の高度経済成長が水道や電力、鉄道などの社会インフラの整備と技術革新によって実現されたものであると説明。水道の水をそのまま飲める国は世界中でも11ヵ国しかない(日本はそのうちの1つ)といった"水"の状況や、1世帯あたりの年間停電時間が4分程度という世界トップクラスの安定した電力供給が実現されている日本の優位性について触れ、このような世界的に見ても優秀な社会インフラが整備されてきたことに対して、同社が「モノづくり」で貢献してきたことを強調した。

また同氏は、同社が歩んできたこれまでの100年において、人々の生活が豊かに・便利に・安全になった反面、公害や騒音、環境負荷などの負の側面が生まれたことについて言及。「モノづくり」を支えた技術を、今後は環境対応に生かしていく考えを示した。

今回の基調講演でとりわけ強調されていたのが、新興国重視の姿勢だ。中西氏は「2020年には新興国における都市部と農村部の人口が逆転すること」や「2050年に全人口の約7割が都市に居住するようになる」といった国連の調査結果をもとに、今後さらに社会インフラ整備に対する需要が拡大すると指摘。

同社としてもすでに、次世代型の都市とされる中国の天津エコシティなどで環境技術を提供していることをあらためて紹介した。

中西社長が示した「つぎの100年における大きな変化」

特に中国に関しては、2014年には生活者全体の所得規模が2005年比で2倍以上になるなど急速に生活水準が上昇することが予想されており、このような状況に対応するための社会インフラ整備が急がれている事情を説明。と同時に、「地球が人類を扶養する力は、すでに1980年代には超過している」という調査データを踏まえた上で「新興国の社会インフラ整備には、当初から環境への配慮が求められる」とした。

新興国における社会インフラ整備は環境対応の両立が重要に