イラスト&図形作成に効果を発揮する新機能

Adobe Illustratorには、カリグラフィックペンのタッチを再現する「カリグラフィペン」、オブジェクトをエアブラシで吹き付けたように散布する「散布ペン」、ブラシやオブジェクトを均一の長さで描画する「アートブラシ」、タイル状にしたパターンをパスに沿って繰り返す「パターンブラシ」がある。今回、アートブラシとパターンブラシは使い勝手が改良され、さらにオーバーラップや透明度をベクターオブジェクトに適用しながら描画する「絵筆ブラシ」が加わった。この「絵筆ブラシ」を使用すると、透明度を適用して水彩絵の具で描いたような複数の色をアートボード上で混ぜ合わせて新たな色を作ったり、これまでのIllustratorにはない表現を可能にする。筆圧を検知するタブレットを併用することで、さらにリアルな風合いを再現することができるだろう。

ブラシツールに加わった「絵筆ブラシ」のオプションを編集することで、サイズや毛の長さ、密度、太さとペイント時の不透明度などを自由に設定して水彩画のような風合いを再現できる

不透明度を変更することで、色を重ねたときに絵の具を混ぜたような効果が得られる。描画方法に「内側描画」が加わったことで、パスで作成したオブジェクトをマスクを自動生成し、簡単に色塗りが行える

さらに、ツールバーには図形やイラスト作成に多用するパスファインダー機能を直感的に適用できる「シェイプ形成ツール」が加わり、オブジェクトの結合や分割、不要な領域の削除などがドラッグ&ドロップで行える。まったく新しい発想のツールなので使い慣れるまでに時間が掛かりそうだが、パネルを開く手間がなくなる分、慣れると手放せない機能になりそうだ。

「シェイプ形成ツール」を使うことで、パスファインダで行っていたオブジェクト同士の合体作業もドラッグ&ドロップで行える

正確な遠近感を再現する「遠近グリッド」

「遠近グリッド」は、表示メニューに新たに加わったグリッドだ。「1点遠近法」「2点遠近法」「3点遠近法」の3種類からグリッドを生成し、テキストや図形、画像データなどをスナップさせて配置できる。そして、ツールバーに搭載した「遠近グリッドツール」を使うことによって、場日進具ポイント(消失点)を水平または左右に移動できる。遠近グリッドを使えばグリッドにドラッグするだけでパースに合わせた変形が自動的に適用されるため、これまでのように自由変形ツールなどを使ってパースを付ける必要はない。

また、テキストはライブテキストとなるため再編集が可能。遠近グリッド上に配置されたオブジェクトを選択するため、ツールバーには「遠近図形選択ツール」が加わった。

ツールバーに加わった「遠近グリッドツール」と「遠近図形選択ツール」。遠近グリッドの中でオブジェクトを配置・移動する際は遠近図形選択ツールを使用する。画面右上にある円は、現在編集中の面を選択するためのウイジェット

表示メニューにも「遠近グリッド」が加わった。ここでは、グリッドの定義など、遠近グリッド表示に関する内容を変更できる