STSからSpring Rooを実行
Spring Roo(以下Roo)は対話型シェルからのコマンド実行でアプリケーションの開発を促進するツールだ。STSではRooを利用しやすいよう、対話シェルが組み込まれている。
この対話型シェルは入力補完とコマンド編集履歴が保持されているので、コマンドの呼び出しも簡単である。Rooにはコマンドの意味を調べる「help」コマンドや、現在の状況から次に実行すべき「hint」コマンドがあるので、実行したいコマンドも簡単に分かるだろう。
STSによる各種実行環境のサポート
STSではWebアプリケーションのデプロイ先を開発サーバやリモートサーバ、クラウド、そして仮想化環境を保持し、切り替えられる。これらの情報はSpringパースペクティブの左下にあるServersビューで管理する。
これらの情報を編集することで開発中のプロジェクトをアプリケーションとしてデプロイする。プロジェクトからデプロイしたアプリケーションは、変更がすぐに反映されるホットデプロイ状態になっている。またtc Serverをインストールし、適切に設定すれば、アプリケーションの内部状態を随時モニタリングできるSpring InsightをSTS内から利用する事もできる。
現在正式版としてリリースされているSTS2.3.2では、SpringSource Cloud FoundryとAWSのみクラウド環境とVMWare Workstationの仮想環境のサポートが行われているが、今後はVMWare vCloudやVMWare vSphere4だけでなく、VMForceやGoogle App Engine等にも対応が進むだろう。
その他にも、開発に便利なプラグインを同梱
上記のプラグイン以外にも最適な生産性のために、SpringSource以外から提供されるプラグインも組み込まれている。例えばエンタープライズJavaの開発環境であるWTPや、RDBを操作できるDTP、リモートサーバとSSHで接続するためのRSE、プロファイリングを行うTPTPなど、Eclipse.orgから提供されるプラグインが組み込まれる。それ以外にもMaven2を扱いやすくしたm2eclipseなども組み込まれている。
SpringSourceがお勧めするプラグインも
この他、STSは必要であればSpringSourceのアイコンから開けるDashboardのExtensions(拡張)タブから、お勧めのプラグインを追加できる。
例えば潜在的なバグを見つけるFindbugsプラグインや、Grails本体と、その開発をサポートするプラグイン、Groovy EclipseなどがExtensionsタブ上に登録されているので、必要に応じてインストールするとよいだろう。
このように、STSはエンタープライズJava開発を最大限サポートしてくれる環境に仕上がっており、十分な機能を備えている。STSのダウンロードはhttp://www.springsource.com/products/stsから行える(ダウンロード前にユーザ情報を入力する必要あり)。ダウンロードするだけで必要な機能は一通りそろうので、ぜひ利用してみるとよいだろう。
執筆者紹介
近藤 寛喜(KONDO Hiroki) - チェンジビジョン 開発部
前職からSpringFrameworkを自ら拡張するくらい使っていたエンジニア。転職後は主にPCで動作するツールの開発を行っている。Eclipseベースのツール開発を行っていたため、Spring DMに興味を持ち、Spring DMの扱い方など、モジュールベース開発を広めている。今回の企画ではSpring dm ServerやSpring tc Server、STSを担当。