「ワンクリックでできること」のメリットを追求

日本語組版に特化したレイアウトソフトとして評価され、多くのユーザーを獲得してきたAdobe InDesign。前バージョンから、日本語組版の強化よりも作業性の効率化にフォーカスをあてた機能の新搭載に力を入れてきた。一般的に紹介されるレイアウトソフトとしては最後発にあたるわけだが、レイアウトソフトとしての基本的な機能はほぼ網羅しているという自信の表れだろう。

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そしてAdobe InDesign CS5でも、日常的なデザイン&レイアウト作業をより効率化する機能が搭載されている。仕上がり結果としては以前のバージョンと何ら代わりはないのだが、そのプロセスはまったく違う。たとえば、画像フレームやテキストフレームの角を丸くする作業では、これまでショートカットキーも用意されていなかったわけだが、Adobe InDesign CS5ではコントロールパネルのプルダウンメニューを選ぶだけで「角オプション」の効果を適用できる。

コントロールパネルに加わった「角オプション」。6種類の効果と度合いを選べる

角オプションの「丸み(外)/1mm」を実行。これまでのようにオブジェクトメニューから「角オプション」を選択せず、角丸の効果を適用できる

また、フレームに配置されたオブジェクトを選択する場合も「選択ツール→ダイレクト選択ツール」とツールを切り替える必要はなく、新たに搭載された「コンテンツインジケーター」を使用するかダブルクリックするだけでコンテンツが選択できるようになった。

フレームの中央にカーソルを当てると表示される同心円が「コンテンツインジケーター」

コンテンツインジケーターを使用すると、ツールに何を選んでいてもフレームの中にあるコンテンツを選択できる

 こうした新機能は、InDesignユーザーであれば誰もが不満に思っていた使いにくさを解消するものだろう。レイアウト画面からコントロールパネルやツールパネルにマウスを移動させる作業を極力減らすことで、目線の移動が少なくなるし肩や腕への負担も少なくなる。一見すると細かい話に見えるのだが、作業性の効率アップには欠かせない新機能と言えそうだ。