独自技術で4インチSiCウェハを製造
デンソーのブースでは、SiCウェハとそれを活用したパワー半導体各種が展示されている。同社のSiCウェハは独自にSiCの種結晶から成長させたもので、現在は4インチまで成長させることに成功している。
ただし、転移欠陥などの微細な欠陥が数百個/cm2存在しており、「素子の種類によっては使えるレベル」(説明員)とのことで、より複雑な素子の実現に向けて、さらなる欠陥の低減が回路側から要求されているほか、量産コスト低減に向けた大口径化の実現要求も出ているとのこと。
このほか、同社ブースでは、リチウムイオン電池用監視ユニットや歩行者検知ナイトビュー付きファイングラフィックメータなどの展示が行われている。リチウムイオン電池用監視ユニットは、A/Dコンバータやマイコンを用いない独自の論理回路構成を用いることで、一般的な方式に比べ、低コストでセル単位の電圧制御を可能としたもので、セル間のバラつきの解消が可能という特長を持つ。
また、歩行者検知ナイトビュー付きファイングラフィックメータは、ナイトビューを含めたメータ表示全機能を12.3型の高輝度バックライトを搭載したTFT-LCD(1280×480画素)にグラフィック表示するというもので、1つの場所に見やすく表示することで、夜間の検知力の向上などが図れるという。
8051活用マイコンも展示
ローム(OKIセミコンダクタ含む)のブースでは、3インチと4インチのSiCウェハが展示されているほか、それを用いて量産が行われているSBD(Schottky Barrier Diodes)や、研究開発品としてSiCによるMOSFET(DMOS)やトレンチMOSFET、パワーモジュールなどの展示も行われている。
SiC MOSFETは耐圧600Vで、5A~20Aに対応。低オン抵抗で高温でも低リークでオフ可能という特長を有している。また、SiCトレンチMOSFETは、1チップで300A駆動が可能なもので、SiC SBDと組み合わせることで、300A駆動のフルサイズモジュールを構成することが可能となる。
このほか、OKIセミコンとして低コストLCD制御マイコン「ML86V8401」や車載向け画像認識ソリューション「NEX@EYE」用チップ「ML512010」のデモ展示などが行われている。
LCD制御マイコンは8051に画像処理機能を搭載したマイコンで、各画像処理機能をハード化することで8051でも画像処理を可能としている。リアビューカメラで撮影した画像をコンポジットなどで入力し、それをバックミラーに搭載したLCDなどに表示させるといった使用法を想定している。日本ではあまり普及が見込めるような使い方ではないが、インドやマレーシア、インドネシアといった新興の自動車メーカーが低価格ながらこうした機能を搭載したいと思ったときには十分活用できるものとなっているとのことだ。
またNEX@EYEはステレオカメラと組み合わせたソリューションの紹介が行われている。これは、単眼カメラだと、カメラ側(自動車側)も動いてしまうため、平面上の白線など余計なものも検知してしまうという問題があったが、ステレオカメラとすることで、カメラ同士の視差を使って立体物を確認。距離として、近くにあるものを識別するというもの。こうした使い方をすることで、例えば安価なプリクラッシュセーフティシステムの構築や、ドライブレコーダとの組み合わせといった活用が可能になるという。