電子立国の復権を目指す
ファインテックの中で、かなりの人だかりが出来ていたのが3Dモニタを出展していたメーカーのブース。Display 2010のゾーンにそれらのブースが集まっているのだが、このDisplayのゾーン、第1回の開催となった2005年やその年のCESで103V型のPDPが披露された2006年などは国内大手パネルメーカー各社が出展していたこともあり、かなりのスペースを確保していたのだが、今年はそうした大手メーカーの姿はなく、会場の片隅に追いやられたような状態であった。
だからといって閑散としていたわけではないのは前述のとおり、そしてそうした新進気鋭の出展メーカーの中でも最も気を吐いていたのが前回のレポートでも登場したニューサイトジャパンの代表取締役の神田清人氏。
同社の今回の目玉は70型のメガネなし3D-LCDなのだが、このディスプレイの前に出来た人だかりを前に、同氏は「我々は3Dを活用することで、日本をもう一度電子立国にしたい。だが我々はパネルメーカーではない、そういう意味ではハードウェアベンダ、アプリケーションベンダ、コンテンツベンダそれぞれが協力していくことが重要」ということを繰り返し熱く語っていた。
そんな同社の70型メガネなし3D-LCDだが、独自のパララックスバリア方式のフィルム貼り付けることで立体感を実現する。そのため、相性はあるものの、既存のほとんどのサイズのパネルに貼り付けて3D化することができるという。
また、ソフトウェアで視聴者が動いても視差ブレがしにくい処理を実施。これにより、どこに動いても立体表示を見ることが可能となっている。
さらに、電気的にパララックスバリアを発生させるソフトを入れることで、2Dと3Dの表示切替を自由に行うことが可能な10.2型のノートPCの展示なども行っていた。
メガネなし3D表示が可能な評価キットが登場
画像を飛び出させるのではなく深さや奥行き感を出すことで立体感を出すことを売りとするマルチ・レイヤ・ディスプレイ(MLD)技術を用いた3D表示を提供するPureDepthのブースでは、同技術を用いたアプリケーションの開発などに向けた「MLD技術評価キット」の発表、展示を行っていた。
同評価キットは12.1型および22型のMLDモニタのいずれかとMLDソフトウェアのライセンスで構成されるというもの。モニタサイズは今後、カスタマの要望に応じたサイズが追加されていく予定となっているが、当面はこの2種類での提供となる。
また、ソフトは120日間の使用が可能な評価版となっている。MLDのコンテンツを作成するための開発ツールで、各種オーサリングに対応したプラグインを有し、マルチレイヤを生かした独自のエフェクトの利用が可能だ。 価格は12.1型の方が120万円から、22型の方が150万円からとなっており、トレーニングが必要な場合は別途有料にて行うとしている。
このほか、同社ブースではこちらも初公開となる携帯機器向け3.5型ディスプレイとナビゲーションなどの用途に向けた7.0型ディスプレイも展示されている。MLD技術は2枚のLCDパネルを重ね合わせることで実現するため、その距離に応じてモジュールが分厚くなるという課題があり、携帯機器には不向き、ということが考えられるわけだが、同3.5型ディスプレイでは下側をカラー、上側をモノクロのパネルとすることで、モジュールの薄型化を実現したとしている。
なお、同技術を用いた3Dディスプレイはすでに国内でもアミューズメント機器などに採用されているとのこと。