新機能の「MeMenu」と「Ubuntu One Music Store」

Lucid Lynxでは"MeMenu(Gwibber)"と"Ubuntu One Music Store"という2つの新しい機能が追加された。

MeMenuはソーシャルネットワーク用のマイクロブログクライアント。MeMenuを使うことでTwitter、identi.ca、Facebookなどいったソーシャルサイトに簡単に投稿することができる。また、インスタントメッセンジャーにも対応している。実際にはMeMenuのソーシャルネットワークへのアクセスは、Gwibberと呼ばれるブログクライアントが行っている。Gwibberを立ち上げるとMeMenuで設定したアカウントでソーシャルネットワークにつながる。

外の世界に1クリックでつないでくれるMeMenu。左はチャットクライアント、右はGwibberでTwitterにアクセスしているところ

3月22日よりUbuntu One Music Storeがスタートした。Ubuntu One Music StoreはUbuntuユーザがに世界のあらゆる音楽を簡単に手に入れられるようにすることを目的としたUbuntuの新しいプロジェクトだ。Ubuntu One Music Storeを使うことでRhytmboxを使って音楽を購入したり、Ubuntu Oneを使って簡単に複数のマシンで同期できるようになる。

ただし現状のUbuntu One Music Storeは、パブリックベータ版でテスト段階となっている。また、利用可能な国が一部の国のみとなっており、本格的にサービスがスタートされるのはもう少し先のようだ。詳しい内容についてはこちらにFAQがあるのでそちらを参照していただきたい。

執筆時点(2009年3月末)ではUbuntu One Music Storeの正式サービスインはまだ先のもよう

Lucid Lynxでは上記以外にもいくつかのアプリケーションが追加されている。たとえば、動画編集アプリであるPiTiViやユニバーサルアクセスとしてキーボードをウィンドウで表示するonBoardなどが収録されるようになった。逆にいくつかのゲームアプリはなくなっている。

iPhoneを接続してみた

Lucid LynxでiPhoneが認識と報道されている。そこでレビューついでに接続できるか試してみた。なお、iPhoneが壊れる可能性があるので、実践する場合は自己責任でお願いしたい。

記事に書かれてあるようにとくに何もしなくもて動作するようで、つなげてみたら普通に認識された。まるでUSBメモリや外付けのHDD、はたまたデジタルカメラを接続したときと同じようにデバイスがデスクトップに表示され、マウントできる。iPhoneを接続すると1つはgphoto2、もう1つはAFCプロトコルと、2つのデバイスが生えるようだ。

試しに写真をiPhoneからシステムにコピーしてみたが問題なくできた。試してはいないがRhythmboxを使って音楽をコピーすることもできそうだ。ちなみにiPhoneをLucid Lynxに接続してもiPhoneの画面には何も表示されず、ファイルをコピーしたときも何も表示されなかった。

この接続に使用したiPhoneは3GS 16Gで、OSのバージョンは3.1.2だ。iPod Touchや最新OSの3.1.3、もうじきリリースされるであろう3.2では動作するかはわからない。また、正式リリース版では使えない可能性もあるので、ご注意のほどを。

iPhoneをつないでみたところ。通常の外部デバイスとして認識されるようだ。カメラアイコンで表示されているところがご愛敬

LTS版としての出来は…

今回、Lucid LynxとしてDesktop版のamd64をメインにレビューを行ってみた。まだベータ版であり既知の問題も残っている段階ではあるが、一度も固まることなく安定して動作した。

LTS版ということで9.10からクリティカルな変更が加えられているわけではないが、見た目がかなり変わっているので実際に触ってみるとこれまでのUbuntuと違った印象を受ける。逆にLTS版でありながら、MeMenuやUbuntu One Music StoreといったUbuntuの新しい試みも垣間見ることができる。今後どうなるかはわからないが、iPhoneが認識できる点もおもしろいところ。

Lucid Lynxの正式版リリースは4月29日とまだ1カ月ほど先となっている。これから徐々にプロダクトレベルに仕上がっていくだろう。LTSはデスクトップ版で3年、サーバ版で5年とサポート期間が長いバージョン。LTS版にアップグレードを考えているユーザ、 今回リリースされるLucid Lynxで始めてUbuntuに挑戦しようと思っている読者の方はぜひ、ベータ版を使って2年ごしのLTS版Ubuntuを体験してみてはいかがだろうか。