ソフトウェア戦略は、OracleのThomas Kurian氏が披露した。全体の方針としては、統合スタックの提供。「プロセッサ、システム設計、ストレージ、ネットワークなどのトレンドを最大活用し、性能、拡張性、フォルトトラレンスなどを改善する」という。
設計の中心となるのは標準と相互運用性。
- 性能を実現できるアーキテクチャ
- 土台レベルでの信頼性強化
- 顧客のTCO削減
の3つを目標とする。
「1,000万人近い人が利用する"宝石"」というJavaでは、
- リーチをさらに拡大し、新しいアプリケーション開発パラダイムを支援
- ランタイムプラットフォームの統合/簡素化、既存および新しい実装アーキテクチャ向け最適化
- 最高のJava技術の提供とJavaコミュニティプロセスの改善によりJava開発者コミュニティの活性化に投資
の3つのイニシアティブを紹介した。
個々のJavaプラットフォーム別としては、「Java SE」ではまず、「Java SE 7」を迅速にリリースする。最新版で予定している機能強化の中で、Kurian氏が触れたのは、モジュラー化、複数言語の対応、HotSpot性能改善、マルチコアプロセッササポートの4つ。中でもHotSpotは今後、Oracleの「JRockit」と統合し、リアルタイムモニタリングや管理を特徴とし、ハイパーバイザーでネイティブに動くよう最適化するという。
「Java EE」では、現行のJava EE 6実装を進化させる形で開発を進める。分野としては、モジュラー化によるさまざまなプロファイルへの対応、UIやRIA、動的言語の対応を強化し、Webサービススタック向けの最適化を進める。
「Java ME」では、2つのトレンドにフォーカスする。1つめは、モバイル端末の性能改善により、デスクトップとの境界が薄れてきていること、2つめは新しいタイプの端末の登場と開発者のロックイン、だ。Oracleの戦略は、「Javaがサーバ側で約束していた"一度書けば、どこでも実装できる"をモバイルに再現すること」とKurian氏、さまざまなプラットフォーム上で動く実装プラットフォームを提供するという。具体的には、
- 起動とランタイムの性能改善
- 消費電力の最適化
- タッチなど新しいインタラクションパラダイムの抽出
- IPTV、Blu-rayなど新しいプラットフォームの移植性
がイニシアティブとして挙がった。
RIAでは「JavaFX」を積極的に推進する。JavaFXは「Oracle ADF」を補完する位置づけで、「既存のJava開発者に新しい技術をもたらし、新しいタイプのアプリケーションを構築可能にする」とKurian氏。ビジュアルアセンブリ、リッチなUIコンポーネントのライブラリの提供などを計画しているとのことだ。その後登壇したEllison氏によると、JavaFXは2010年前半にアップデート版が登場する予定という。
ミドルウェアでは、ビジネスアジリリティと性能改善を両柱とし、「Fusion Middleware」にSun技術を統合する。
開発ツールでは、Sunの「NetBeans」はJava開発者向けの軽量IDEという位置づけとして継続し、スクリプティングやJava ME、Java EE 6での開発ツールとする。エンタープライズ向けの戦略的ツールは、Oracleの「JDeveloper」で、Fusion MiddlewareやFusion Application向けの開発ツールとする。Kurian氏はまた、「Hudson」開発を継続し、JDeveloperへの統合を進めること、Eclipseへの投資を継続することにも触れた。
アプリケーションサーバでは「GlassFish Application Server」は、Java EEリファレンス実装用として継続する。戦略的アプリケーション/グリッド製品はOracleの「WebLogic Server」で、今後も性能や拡張性を強化する。将来、GlassFishとWebLogic間での技術共有も進めるという。Glassfishについては、これまで通りのサポートや配信モデルを継続するとした。
Kurian氏はこのほか、SOA/マスタデータ管理(MDM)、コンテンツ管理、ID管理、IDプロビジョニング、ロール管理、アクセス管理などの分野にも触れた。基本的に、Oracleの既存製品を戦略的製品としながら、Sun製品/技術を(当面)維持して共存させる方針となっている。管理製品では、「Oracle Enterprise Manager」と「Sun Ops Center」があるが、まずは相互運用性を確保し、段階的に単一の製品に統合する計画という。