経済環境の悪化に伴い、企業のIT投資抑制が加速するなか、過去最高の売上高を更新しているのがチェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズである。インターネットセキュリティにおけるトップベンダーである同社は、ネットワーク、データ、エンドポイントといったトータルセキュリティを単一の統合管理フレームワークで提供する唯一のベンダーでもある。

2009年には、新たなセキュリティ技術として、Software Bladeアーキテクチャーを投入。さらにノキアのセキュリティ・アプライアンス部門の買収により、アプライアンス事業を強化した。2010年において、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズはどんな成長を遂げるのか。同社・杉山隆弘社長に話を聞いた。

--2010年におけるIT市場の動き、なかでもセキュリティ市場環境をどう捉えていますか?

チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ 代表取締役社長 杉山隆弘氏

杉山:エンタープライズ市場におけるITデマンドの変化は、ますます明確なものになってくるのではないでしょうか。企業はIT投資の抑制、あるいは既存システムを維持することでITコスト全体を削減しようと考えています。もちろん、2009年にもこうした動きはありました。しかし、2010年になると伸びしろといえるものがなくなり、さらにいまの予算の枠のなかで、同じサービスレベルを維持しながら、いかに投資を抑制できるかという、選択と集中に入ってくるでしょう。

そのなかで、チェック・ポイントがフォーカスするネットワークインフラ、ITインフラに関しても、やはり同様に、投資の保護と運用コストの抑制といった動きが続くことになります。これは経済の低い成長率を前提とした上では、合理性がある投資の考え方といえます。

--セキュリティに対する投資も同様ですか?
杉山:
投資の保護と運用コスト抑制が見られるという点では同じです。しかし、ネットワークインフラを取り巻く環境を見てみると、インフラへの投資は一巡しましたが、2010年にはいよいよIPv6が実装段階に入ってくることになるでしょう。また、IPの通信網のトラフィックは益々増え、IPアプリケーションも増加します。そうなると、当然のことながら、今以上にIPセキュリティのニーズが高まってきます。そのため、IPセキュリティに対するニーズは、これまでのように単純にアンチウイルスやファイアウォールというものに留まらず、クライアントセキュリティ、ネットワークセキュリティ、アプリケーションセキュリティという3つが統合されたかたちで求められるようになります。そのときこそ、チェック・ポイントの強みが発揮できるのです。

チェック・ポイントは、これまでネットワークセキュリティのゲートウェイ部分においてソリューションを提供してきましたが、ここにソフトウェアセキュリティ、ハードウェアセキュリティの製品を揃え、クライアントのエンドポイントにもブレードアーキテクチャーを広げることができるようになりました。アプリケーションセキュリティにおいても、5万種類のIPアプリケーションにおいて防衛を可能にするプロダクトを提供することで、あらゆる顧客に対して、セキュリティソリューションを提供できるようになる予定です。顧客の多様性にブレートアーキテクチャーで応えていくのがチェック・ポイントの製品戦略であり、2010年に向けて、こうした製品が揃ってきています。2009年は備えの1年と位置づけていましたが、その点では、2010年に向けた準備ができているといえます。