--仕様の相互運用性、コストのほか、WiMAXの優位性はどこにあるのでしょうか?

Resnik氏 LTEより先行しているという事実です。我々はいま、その技術を提供します。

--端末側の動向を教えてください。

Resnik氏 WiMAX ForumではノートPC/ネットブック向けの認定プログラムがあります。認定を取得したもの、開発中のものを合わせ、480以上の端末があります。(LTEよりも)我々のほうが成熟度が高いと確信しています。

携帯電話としては、GSMとWiMAXのデュアルモードを台湾HTCや韓国Samsungなどが開発しています。

WiMAX Forumで規制作業部会担当チェアーを務める規制・周波数帯ポリシーディレクターのTim Hewitt氏

Hewitt氏 端末は2011年には1,000機種になると予想しています。これにより、WiMAXユーザーやオペレータは目的に応じて端末を選択できるようになります。

WiMAXをコスト効果の高いブロードバンド技術にすることはWiMAX Forumの目標ですが、Forum外の動きとして、ベンダコミュニティが「Open Patent Alliance (OPA)」を結成しています。これは、WiMAX端末製造にあたってのIPR(知的財産権)を共有することで、特定企業が特許をコントロールする状況を避けるというもので、結果として端末コストが下がると期待されています。

--周波数帯・規制の作業部会について教えてください。

Hewitt氏 我々の作業部会では、

  1. 周波数帯へのアクセス
  2. 周波数帯に関連した規制がWiMAXに適切なものか、障害となっていないか
  3. 周波数帯でWiMAXがきちんと動くようにメンテナンスする
  4. 実装後も周波数帯の設計を保護し、他の用途でも使えるようにする

の4つで作業を進めています。

WiMAXは現在、アジアで関心が高い2.3GHz、米国のClear WireやロシアのYotaが利用している2.5GHz、3.5GHzの3種類の周波数帯を利用しています。WiMAXは現在、145カ国504のネットワークで実装されていますが、65%が3.5GHzです。

現在取り組んでいることの1つに、TVがアナログからデジタルに移行することで空く周波数帯があります。米国では700MHz、欧州では790 - 862MHzなどで、これらの周波数帯を無線ブロードバンド向けに正しく方法で利用する必要があります。

--規制面で感じている課題は?

Hewitt氏 規制当局を古いパラダイムから新しいパラダイムに移行させること、ブロードバンドの重要性への認識と規制体系とが結びつくこと、です。周波数帯を開放する際、柔軟性を持たせることが必要です。これには、音声とデータなどサービスでの柔軟性、固定/ノマディック/モバイルと利用面での柔軟性などがあり、技術中立性が不可欠です。技術を決定するのは、市場(顧客)です。

ブロードバンド技術の経済効果は実証されており、ブロードバンド普及率が10%増加すると、GDPが7.8%増加するとも言われています。WiMAXネットワークは世界に500以上あり、我々はWiMAXに自信を持っています。オペレータはWiMAXを選択し、柔軟性のある新しいパラダイムを切り開くことができます。

--ローミングがWiMAXの課題といわれています。

ローミング関連では2つの方向から取り組みが進んでいます。

1つめは、グローバルレベルでのローミング作業部会です。オペレータ間が結ぶ法的フレームワークの仮のドキュメンテーションを提供するもので、希望するオペレータはこれを利用できます。このような土台を提供することで、ローミングに必要なビジネス要素を迅速に固めることができます。

2つめは、端末面での進化です。3種類の周波数帯をサポートするモジュールを利用したUSBスティックや内蔵ノートPCが登場しています。

技術的アプローチとビジネス面からのアプローチで実現に近づきつつあります。すでに、Clearwire、Yota、UQコミュニケーションが合意をしており、P1(マレーシア)も検討しているといわれています。ネットワークを構築したら、次はローミング、というのは自然な流れであり、今後このような動きはさらに活発になると予想しています。