NECフィールディングはNECグループで唯一の情報システムに関する保守専門会社で、システム展開サービス、サプライサービス、運用サポートサービス、保守サービスといったITシステムライフサイクルにおける導入以降のアフターサービス領域で事業を展開。国内483拠点、海外3ヵ国10拠点から、迅速な保守サービスを行える体制を整えている。
このほど公開された「あるパーツ川崎」は、保守に必要な部品を一元管理し、全国の拠点へ配送する役割を持つ同社のパーツ拠点だ。ここから全国16拠点のパーツセンター(集中倉庫)、44拠点のパーツブランチ(中規模倉庫)、151拠点の拠点倉庫(小規模倉庫)に部品を供給。すべての部品が発注日の翌朝に全国の倉庫に到着する仕組みとなっている。さらに2009年9月にあるパーツ川崎に神奈川県・大和にあったリペア本部が統合され、部品の修理も行えるようになっている。
1日に入出庫する部品数は3万個
あるパーツ川崎は、神奈川県川崎市にある。川崎競馬場の横に立地し、川崎駅から車で約5分の位置にある。事務棟として、3フロア約650坪。倉庫棟としては5階建て8層構造、約8,500坪の延床面積を持つ。倉庫棟1階のトラックヤードには、毎日120台のトラックが発着。入出庫する部品の数は1日3万個にものぼるという。また、2階のリペアテクノセンターでは、1日に2,500個の部品が修理されているという。
同社の機材グループは保守部品管理、保守部品販売、サプライ物流のほか、サードパーティーを対象に行っているサービスパーツロジスティック受託業務を行うロジスティクス本部と、リペア事業、リユース事業、メディア事業を行うリペア本部とで構成され、そのほとんどの業務にあるパーツ川崎が関わっている。
現在あるパーツ川崎では、19万種類、1,200万個の部品を在庫しており、保守で使用した部品を、随時NECなどから調達し、注文に応じて迅速に出荷できる体制を整えている。
ユーザー現場で修理が発生すると、全国211ヵ所の部品保管拠点から部品を供給するというのが、同社の基本的な姿勢だ。在庫にない部品はあるパーツ川崎から翌朝までに拠点に配送される。使用された部品の補充は、すぐにあるパーツ川崎に注文が出されることになる。
一方、保守の際に回収した壊れた部品もあるパーツ川崎に送られる。あるパーツに入庫後、リペア本部のリペアテクノセンターで修理を行うが、リペア本部で修理できないものはメーカーに戻されて修理が行われる。修理された部品は再使用可能な部品としてあるパーツ川崎に在庫されるが、すぐに補給要求がある部品は倉庫に入らずに出荷されることもある。
これらの体制を支えるのが、在庫管理システム「ALIMAS-V」だ。同システムは入庫・棚入れ、出庫指示、出庫、配送、回収、検品、修理までといった一連のプロセスを管理する。さらに、過去の部品使用率、供給リードタイム、故障率などを分析し、最適な在庫数量を予測するシステム「STORE-III」も、適正な在庫を維持するために重要な役割を担っている。
確実に成果を上げている生産革新活動
ここ数年にわたるあるパーツ川崎の取り組みで見逃せないのが、生産革新活動の成果だ。あるパーツは生産拠点ではないが、NECグループ全体で取り組んでいるトヨタ生産方式を2006年10月から導入。2006年11月に社内では「大和の誓い」と呼ばれる棚卸半減、修理リードタイム半減、フロア半減の目標を掲げ、構造改革に取り組んできた。
この取り組みの中で出荷仕分けラインの搬送コンベアを撤去。さらに2階、3階の部品搬送コンベアも撤去して、すべてを「みずすまし」と呼ぶ、人手による搬送へと転換。また、クロスドックと呼ばれる手法を用い、入庫した部品を倉庫に入れずにそのまま出庫することで、在庫保管スペースの削減と作業効率を改善し、クロスドックで取り扱う部品の比率は従来の5%から現在は30%にまで高まっているという。さらに、作業動線の短縮や、出庫頻度の違いにより、部品をアクティブ品とスロー品に分類することで収納効率を引き上げることにも成功。作業効率で15%向上、収納効率で20%向上させたそうだ。
結果として、2007年に比べて作業エリアは66%も削減。この空きスペースを利用して、2007年にはNECインフロンティアシステムサービス(現在はNECフィールディングに吸収)の機材部門をあるパーツ川崎に受け入れたほか、2008年にはNECフィールディングのサプライ倉庫を新木場から移転。さらに2009年にはリペア本部もあめパーツ川崎内に統合した。