Crayは次世代マシン「XT6」を展示

Crayは、オークリッジ国立研究所に設置されたXT5ベースのJaguarシステムのCPUを4コアから6コアのOpteronにアップグレードして、今回、念願のTop500首位を手に入れた。そして、今回のSC09では、IBMのPOWER7などに対抗する次世代マシン「XT6」を展示した。

XT5では6コアのIstanbulをCPUとして使っているが、これをXT6では12コアのMagny-Coursに換え、性能を倍増する。ただし、IstanbulとMagny-Coursではソケットが違うので、CPUだけの交換ではアップグレードは出来ず、新しいマザーボードとなる。

CRAY XT6ブレード(左)

XT6のインターコネクトモジュール

XT6の計算ノードは、XT5と同様に、2個のCPUとCray開発のSeaStarと呼ぶインターコネクトチップで構成される。そして、インターコネクトチップにより計算ノードを3次元トーラス構造に接続してシステムを構成する。

XT6のブレードは、4個のMagny-Cours CPUが2列に並んでいる。この写真では、手前の列はヒートシンクを外した状態で、CPUのパッケージが露出している。このパッケージにはAMD ENG SAMPLEと印字されていた。そして、後方の列のCPUには銅フィンのついたヒートシンクが装着されている。

一番後方に黒い小さなコネクタが見えるが、この部分に右側の写真に示したインターコネクトモジュールが挿入される。現在はXT5と同じSeaStar2+チップを使っているのであるが、次世代のチップを開発中であり、それが完成すると、インタコネクトモジュールの取り換えでアップグレードが可能となるとのことである。

SGIも次世代機「Ultra Violet」を展示

経営不振からRackableに買収されたSGIであるが、買収したRackableが伝統あるSGIに社名を変更したので、ブースとしては昨年に続いてSGIで出展されている。また、目玉製品も旧SGIで開発されてきた「Ultra Violet(製品名はAltix UV)」である。

Altix UV1000の筺体

Ultra Violetのブレード

Ultra VioletはSGIのccNUMAテクノロジを用いて、巨大な共通メモリ空間を形成することができるのが特徴である。科学字術計算では巨大な配列を使う場合があるが、通常のPCクラスタでは各計算ノードに分散してデータを置くようにプログラムを書く必要があり、プログラミングが難しくなる。しかし、Ultra Violetでは、共通メモリ空間になっているので、データを分散配置する必要がなくなる。また、MPIもソフトでネットワークアダプタを駆動せず、メモリコピーでデータを転送できるので、高速に実行できるという。

Ultra Violetのブレードは、写真の中央付近にIntelの8コアのNehalem EXを2個搭載し、その後方に細長いフィンのついたUV_hubと呼ぶブレード間をccNUMA接続するLSIが搭載されている。そして、一番手前は、I/O用のメザニンカードである。

そして、製品としては「Altix UV100」と「同UV1000」があるが、上位のAltix UV1000では筺体を4段に分割して各8枚のブレードが実装され、全体ではブレード32枚、64 CPUチップ、最大512コアを収容する。そして、UV_hub経由で最大2048コアをFat Tree構造で接続し、Globally Shared Memoryシステムを作ることができる。また、この2048コアのシステムを単位として2次元トーラス接続することにより、最大25万6,000コアのGlobally Addressable Memoryシステムまで拡張することができるようになっている。

また、SGIでは、IntelのデュアルコアAtom CPUを使用するパーソナルス―パコンピュータ「Octane III」サーバも展示していた。写真の奥の方に6個のAtom CPUのヒートシンクが見える。

SGI Octane IIIのAtomトレイ

Sunはフラッシュシステムなどを展示

Oracleによる買収がEUの異議でごたついているSun Microsystemsであるが、SC09においては例年通り意欲的な展示を行っていた。

今年の新たな目玉として、フラッシュメモリを利用し、OracleのExadata2に採用されたフラッシュモジュールや最大1.92TBのフラッシュストレージであるF5100が展示されていた。

PCI-Expressインタフェースの96GBのF20 Flashモジュール(左)と最大1.92TBのF5100 Flashストレージ(右)

そしてAMDの6コアIstanbulを4個搭載するF6440 ブレードとXeon 5500(Nehalem EP)を2個搭載するHPC用のX6270 ブレードや、SunのInfiniBandスイッチとF6000ブレードを搭載したHPC用筺体などを展示していた。

6コアOpteronを4個搭載するF6440ブレードと4コアXeon 5500を2個搭載するF6270ブレード

SunのHPCラックの一例。上部にInfiniBandスイッチ、下に2グループのX6000シリーズブレードが搭載されている

HPの展示

Top500の内の208システムと、最大のシステム数を誇るHPであるが、特別にスパコン用という製品を持っておらず、汎用の高密度サーバである倍密度ブレードサーバを展示していた。

HPのDouble Density Bladeシステム

2枚の2ソケットブレードをペアにするDouble Density Blade