顧客管理 - Webアプリケーション or not?

今回お話を伺ったセールスフォース・ドットコム セールスエンジニアリング本部 シニアプリンシパル アーキテクト 内田仁史氏

エンタープライズもコンシューマも、アプリケーションはひとつの転機をむかえている。自分のPCにアプリケーションをインストールして使うという従来のスタイルから、Webアプリケーションとして提供されているアプリケーションへの移行だ。それぞれに利点と欠点がある。

Webアプリケーションを採用する最大の利点は、社内で情報システムのメンテナンスをする必要がなくなるということだ。システムアップグレードやシステムトラブルへの対処も必要なくなる。デスクトップにインストールするタイプのアプリケーションと違って、データにアクセスできる端末の種類が多いという特徴もみられる。ただし、自社のデータを他社のデータセンターに置くというリスク、アプリケーションに問題が発生しても自社のエンジニアからは何もできないというリスク、毎月や毎年ごとに発生する利用料などの懸案事項もある。

一方、デスクトップにインストールするタイプのアプリケーションでは、データを物理的に手元で管理することができ、社内における自由度が高い。リスク管理も自社内で回せるという利点がある。その反面、システムの管理やメンテナンス、システムアップグレードや機能改善など、すべてを社内で回す必要があるというハードルもある。

ここで、定期的に発生する使用料を支払っても、すべて外部のアプリケーションを使ったほうが価値があると判断した場合には、Webアプリケーションを採用するということになる。

顧客管理のWebアプリ、セールスフォース・ドットコム

顧客管理に要求される機能は、業界によってまちまちであり、同じ業界でも企業ごとにかなり異なる。国や地域が異なれば商業慣例も違うため、米国製のアプリケーションをそのまま翻訳すれば日本でも売れるというものでもない。顧客管理 (CRM)アプリケーションをWebアプリケーションとして提供している、言葉を変えればSaaS / クラウドコンピューティングで提供している、最たる企業のひとつがセールスフォース・ドットコムだが、同社はそこをうまくこなしている。

米国に本社をおくセールスフォース・ドットコムだが、同社は日本市場でも成長を続けている。米国のsalesforce.comが設立されたのが1999年3月。日本法人となるセールスフォース・ドットコムが設立されたのが2000年4月。同社はかなり早い段階から日本市場へのコミットメントを行い、日本市場の要望をサービスに反映させてきた。こうした取り組みが、多くの日本の顧客企業に支持されてきている。