更新系システムと参照系システムを分けるために
例えば、コンシューマ向けのECサイトを運営するeBayでは、更新処理のシステムと参照処理のシステムを分けるために使われている。
同社のシステムはカテゴリごとに異なるサーバが用意されており、それぞれ参照系と更新系の2種類が設置されている。私達が普段アクセスしているのは、実は参照専用サーバで、そこで処理されているデータは更新系システムからSharePlexによってリアルタイムにコピーされたものになるようだ。このようなアーキテクチャにより、1日2億PV(Page View)という大量リクエストを安全かつ高速に捌いているという。
こうした利用法は昨今急速に普及しているBIでも採用されている。基幹システムのデータをBIシステム側にリアルタイムにコピーし、さらに他システムのマスターデータを加えて分析ツールに渡すといったかたちで、速報性が高く、多角的な分析が行えるレポートシステムを構築する例もあるようだ。
クエスト・ソフトウェア システムズ・コンサルティング部 システムズコンサルタント 駒沢健一郎氏 |
このような使い方ができるのは、データベースのレプリケーションに特化した機能を提供するSharePlexだからこそだという。
「RESOログを基にレプリケーションを行うSharePlexであれば、更新用にカスタマイズされたデータベースから、参照系にカスタマイズされたデータベースへと、簡単にデータをコピーできる。これは、環境をまるごとコピーするような製品では実現できない処理。データベースを共有するような製品でも難しい」(Agarwal氏)
また、駒沢氏によると、高可用性とBIを同時に実現するような事例もあると言う。具体的には、SharePlexでデータをコピーした待機系システムの上で普段はBIアプリケーションを実行するというもので、そのちらのシステムで試しに仮想化環境を導入してみるケースも多いようだ。
移行作業でも活躍
先ほどは触れなかったが、SharePlexのもう1つの大きな特長として、データのコピー処理中にもトランザクション処理を実行できるというのがある。トランザクション処理は、コピー先、コピー元の双方で実行可能。それゆえに、eBayのような常時更新が行われるシステムにおいても、リアルタイムのコピーが行えるわけである。
この特徴は、移行作業でも大変重宝する。
例えば、全日本空輸(ANA)では、ハードウェア、OS、Oracle Database、SAPなど、さまざまな環境の切り替え/バージョンアップを行う大規模移行プロジェクトで同製品を活用した。この事例では、運用の都合上、ダウンタイムを6時間に抑える必要があったが、当初の見積もりで算出した時間は60時間。これは、実際のシステム切り替え時間に加えて、移行作業やテスト作業を盛り込んだ数字だったという。
しかし、SharePlexの採用により、移行作業やテスト作業の最中は、前システムの運用を継続させることが可能になった。その結果、システムを本当に停止しなければならないのは、実際の切り替え作業を行う期間だけで済むようになり、6時間のダウンタイムで全作業を終えられたという。
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以上のように、活用シーンが多岐にわたるSharePlex。BIシステムなど、さまざまな用途で活用できる同製品は、その存在を頭に入れておくとで、採用できるアーキテクチャの幅が大きく広がりそうである。
実は、12月より価格の大幅改定も行われており、従来比約80%ダウンの1CPU当たり150万にまで値下げされている。興味のある方は、この機会に検討してみるとよいだろう。