皆さんは「SharePlex for Oracle」(以下、SharePlex)という製品をご存知だろうか。
SharePlexはデータベースのレプリケーション機能を提供するソフトウェア。製品名に「Oracle」と入っていることからもわかるとおり、Oracle Databaseに特化したものになっている。
クエストソフトウェア 代表取締役社長 山岡英明氏 |
米国では「IT開発者における認知度が大変高い」(クエストソフトウェア 代表取締役社長 山岡英明氏)と言い、「こういう製品があることを国内で周知できず、各企業に高額製品の購入に踏み切らせてしまっていたのは私達の責任」と、山岡氏が罪の意識を口にするほど、IT投資額を大幅に削減できる製品だという。
では、SharePlexは一体どのような特徴を持つのか。また、仮想化がもてはやされている現在において、データベースレプリケーション製品の存在意義はどこにあるのか。そのあたりの詳細を米Quest Software, Product Management, DirectorのAmit Agarwal氏と、クエスト・ソフトウェア システムズ・コンサルティング部 システムズコンサルタント 駒沢健一郎氏に聞いたので、簡単に紹介しておこう。
REDOログを基にレプリケーション、データ転送量は最小限
米Quest Software, Product Management, DirectorのAmit Agarwal氏 |
SharePlexは、前述のとおり、Oracle Databaseに特化したデータベースのレプリケーションツールである。
データベース管理者や開発者など、スキルの高いエンジニアに利用されることが想定されており、インタフェースは彼らにとって馴染みの深いコマンドベースになっているほか、設定情報もファイルベースで管理される。
レプリケーションは、データベースのREDOログを基に実行する仕組み(論理レプリケーションアーキテクチャ)。ネットワーク転送量は、独自技術によりREDOログ生成量の約1/3に抑えられる。そのため、比較的安価なネットワーク環境でも利用可能なうえ、高いパフォーマンスが期待できるといった特徴がある。
また、コピー元とコピー先でOracle Databaseのバージョンやハードウェア/ソフトウェアの種類が異なっていても利用できる点なども、メリットの1つに挙げられる。
DBレプリケーションの利用シーンは可用性だけではない
さて、データベースのレプリケーションと聞いて、皆さんはどのような活用例が思い浮かべるだろうか。
真っ先に思いつくのはやはり高可用性ソリューション。待機系システムにデータを随時コピーしていき、プライマリシステムに障害が発生した際にはそちらに切り替えられるようにしておく。そういった使い方を想像するのではないだろうか。
実際、クエストソフトウェアのWebサイトでも同製品の対応ソリューションという欄に挙げられているのは、高可用性を表す「HA」である。
もちろん、最もオーソドックスな用途は、可用性を高めるためである。山岡氏も「Oracle Real Application Clustersが必要になるようなケースも、SharePlexを使えば投資額を約1/10に抑えることが可能」と説明するほどその効果は高い。
しかし、高可用性という点だけにフォーカスするのであれば、(環境にもよるが)VMware vSphereなどの仮想化技術を導入する方が、より楽に構築/運用でき、メリットが大きいケースが多いはずである。
その点は導入を決めた各企業も認識しているようで、昨今のSharePlexは、「高可用性以外の場面で使われることも多い」(Agarwal氏)のだという。