弁論後、ケンコーコムら原告側は、東京・霞が関の司法記者クラブで、記者会見を行った。記者会見では、弁護士の関葉子氏が、被告側が提出した「準備書面(1)」における主張には全く理由がないとして、「準備書面(3)」で以下のように反論したと説明した。
被告側は省令について、ゆるやかな規制であり、憲法の職業選択の自由に違反しないとしているが、省令はネット販売そのものを規制するものであり、大変厳しい規制である。したがって、職業選択の自由を侵すものであり、違憲である
被告側は、省令の「対面の原則」を薬事法を定めた立法者の意思としているが、対面の原則やネット販売の禁止に言及した付帯決議もなく、立法者の意思とはいえない
関氏はまた、原告側が行った求釈明に対する被告側の回答について、以下のように説明した。
- 薬事法において、購入者が不要であるとすれば、第1類医薬品でも情報提供を行わなくてよいと定めているのに、ネット販売が禁止されることについて、国は「購入者が説明不要の意思表示をしても、専門家が漫然と情報提供を行わなかった場合には行政処分を行うことが法的に可能」と回答してきた
関氏は、国の回答について、「ちょっと言葉を失うようなもの」であると批判。「国は合理的な回答はできない」と断じた。
この後、ケンコーコム社長で日本オンラインドラッグ協会理事長の後藤玄利氏は、「省令施行後、1日150~200万円の医薬品の売上を継続的に失っており本当に困っている。当社に寄せられる(省令を批判する)消費者の声も一向に衰えておらず、1日も早くこの不適切な状態が解決されることを願ってやまない」と訴えた。
ウェルネットの尾藤昌道氏も、「対面の原則と言うが、ドラッグストアでは商品をかごに入れてレジに持っていき、ポイントカードを出して購入するだけ。対面はレジしかなく、これが対面の販売といえるのか。(対面の原則は)現実ではない論理だ」と省令を批判した。
民主党政権になったことによる影響について後藤氏は、「しがらみのない新しい政権であり、今までよりも期待ができる」と述べた。弁護士の阿部泰隆氏も、「今までの政権は官僚が作った案を了承してきた。対面販売の原則も、これをやめようとするなら鳩山政権は立派なもの。本当の『脱官僚政治』をやってほしい」と新政権への期待を話していた。
訴訟の今後のスケジュールは、以下の通りとなっている。
11月10日までに、原告側が論点補充と、被告側の「準備書面(2)」への反論(書類送付)
12月7日までに、被告側が、原告側の「準備書面(3)」への反論(書類送付)
12月21日または22日までに、原告側が被告側への再反論(書類送付)
12月24日に第4回口頭弁論、結審