ジャーナリストたちが語った「Twitterメディア論」

Twitterが、新しいネットコミュニティのあり方として注目される中、最近、盛んにTwitterを題材にしたセミナーやイベントが開催されている。10月2日には、「twitter革命! - twitterの未来、そしてこれから起きること -」をテーマにしたトーク&ライブイベント「Twitter Night Vol.3」が開催された。

「Twitter Night」は2007年に、KNN(Kanda News Network,Ink.)主催で始まった日本初のTwitterをテーマにしたイベントである。第3回となる今回のイベントは、内田洋行知的生産性研究所が共同主催者となり、内田洋行のユビキタス協創広場CANVASにおいて計180名の参加者を集めて大規模に開催された。

Twitter Night Vol.3ではさまざまなメディア関係者が集まった。写真は、左から佐々木俊尚氏、林信行氏、ヒマナイヌ川井氏。川合氏(@himanainu_kawai)はTwitterの使い方から「頭の中にメディアが近づいている」と話す

ここでは、Twitterの未来と題して行われた第一部の「メディアセッション」から、参加ジャーナリストたちが語ったTwitterメディア論についてフォーカスしてみた。

Twitterでの問題、「失言」を許容できるか

「Twitter Night」を初回から主催してきたKNN代表、ビデオジャーナリストの神田敏晶氏(@knnkanda)は、本テーマを選択した理由について「現在のメディアの役割が中間業者のように見えてきた中で、直のやりとりをTwitterでリアルタイムに展開し始めた時に、メディアの役割を模索したいと思った」と説明する。

セッションでは「Twitterのメディアとしての可能性がどの程度あるのか」「メディアがどう変わって行くのか」といったことが語られたのだが、ここでは、起こりうるであろういくつかの問題点についても指摘された。

「サービス直後にアカウントを取ったが、真面目に呟きを投げ始めたのは去年の暮頃から」というジャーナリストの佐々木俊尚氏(@sasakitoshinao)は、「自分のブックマークをポストしているだけなので、本来使うべき使い方とは違って(自分の使い方は)邪道かもしれない」とTwitter歴を語り、「情報爆発」と「失言の許容」という2つの問題を挙げた。

同氏は、「Twitterのフォローが1,000人超えると、タイムライン(TL = 発言の表示リスト)は"爆発"して、何が投稿されているのかがまったく分からなくなる。米国では、RSSを見ずにTwitterで情報収集は十分という意見も出て来ているが、今後はフィルタをどうするのかが非常に重要になって来ている」と語る。そして、フォロー数を増やしたり、それによって増えた情報をいかに効率的に閲覧するかについては、「現状では『Suggested User List(Twitterのお勧めユーザーリスト)』から情報収集という手があるが、Twitterはさらにマスメディア化してきているので、ユーザーを絞りパーソナライズ化されたリストによって情報を収集して行く、という方向に今後は向かうのではないか。(その手続きを)手動で行うか自動化するのかという課題も出てくるが、これはSNSにおける情報収集と同じで、Twitterだから情報をうまく取り込むことができるという話にはならないだろう」と語る。

続けて、「Twitterの役割は、ある意味リアルタイムの"生々しい発言"が流れて行くことにある。そこの生々しさは『失言』につながる可能性がある」とも話す。佐々木氏は、総裁選挙の終わりに産経新聞が呟いた「産経新聞下野なう」発言(※)を挙げて、「失言を批判すべきかどうか」が非常に重要な問題だと語る。

※産経新聞社会部選挙班が、衆議院総選挙期間限定で開設していたtwitterのアカウントが、総裁選挙後にTwitterならではの表現で本音を漏らし、その後、「下記の発言について、たくさんの厳しいご意見をいただきました。軽率な発言だったと反省しています。ご不快の念を抱かれた方には、お詫び申し上げます」と謝罪投稿した。

「インターネットのメディアには、今まで公的な空間しかなかった中に、私的な空間をどれだけ切り裂いて持ち込んで行くかという非常に大きなテーマがある。(Twitterの特徴は)プライベートにおける言論をどれだけ外につなげていくかにある。産経新聞の一人の記者が失言したとしても、プライベート空間なのだからいいのではないかと僕は考えている。プライベートな発言を断罪することは、Twitterの持つ言論の力を弱めてしまうことになるのではないか。ある程度、そこを許容して行くべきではないかと考えている」と述べた。