--先日発表されたDWH構築用専用アプライアンス「IBM Smart Analytics System V.1.0」の特徴を教えてほしい--
Vella氏: IBM Smart Analytics System V.1.0は、IBMのBIのベストプラクティスの集大成だ。同製品は、「ハードウェアとサービス」、「データウェアハウス」、「分析用ソフトウェアのオプション」という3つの層から構成され、ハードウェア、ソフトウェア、導入作業がパッケージ化されている。これらがすべて最適化された状態で顧客の下に届くので、本来であれば導入に数ヵ月かかるBIシステムが最短12日間で構築できてしまう。これによって、コストも削減することが可能だ。
また、モジュール型であることも特徴の1つだ。キャパシティ、ディスク、機能を必要に応じて追加することができるので、柔軟性と拡張性に優れているというわけだ。処理速度も速く、TPC-Hというベンチマークで記録を出している。
同製品にはサポートも含まれているが、ハードウェアとソフトウェアのサポートを1つの窓口で受け付けることができるのも、競合製品に対する強みと言える。通常、ハードウェア、ソフトウェアを別なベンダーの製品を導入した場合、それぞれのベンダーにサポートを依頼しなければならない。
--米国企業に比べて、日本企業はBIの重要性を理解しているものの、なかなか導入には至っていないと言われているが--
Vella氏: 米国でも企業によって分析に対するニーズが異なるので、国による違いというよりは、企業内に分析の文化を醸成することが重要と言える。当社は「Information Agenda」というコンセプトを提唱しているが、そこでは「データの中から価値を見つけなければいけない」としている。コストをかけなくても情報から価値を見出すだけで、利益を得ることができるのだ。
例えば、米国大リーグのオークランド・アスレチックスは情報を選手間で共有し、ドラフトに生かすことで、優勝にまで上り詰めた。コストをかけずに利益を得た良い例と言えよう。
--BI製品は導入に際してコストがかかるため、導入に足踏みしている企業もあると聞く--
Vella氏: 当社が提供しているBI製品はコスト効果が高いと自負している。というのも、モジュール型の製品であるため、最小構成で始めて、随時、必要なモジュールを拡張することができるからだ。最初から、分析が行えるシステムを構築しないというのも手だろう。
当然、コストについて気になるであろうが、ユーザー企業には自社の情報の中身をよく見ていただきたい。そして、ビジネスチャンスを見つけていただきたい。ある米国の保険会社では、情報を確認することで保険料の払いすぎを発見したという例もある。
--最後に、日本のユーザーにメッセージをお願いしたい--
Vella氏: 私がBIを導入する顧客に言いたいのは、「SIerにならないでください」ということだ。つまり、顧客にはBIシステムの構築に時間と手間をかけてほしくないのだ。BIシステムの構築の部分は当社が請け負うので、顧客の皆さんはBIのためのアプリケーションの構築、情報の分析に注力していただきたい。そこで有用なのが、短期間で構築可能で、構築に際してかかる顧客の手間を最小限に抑える「Smart Analytics System 」である。この製品は、IBMのBI戦略を具現化したものだ。今後は、買収した企業のテクノロジーを統合するとともに、パートナーと協力して、サードパーティのアプリケーション・モジュールも増やしていく予定だ。