まず「デザイナと開発者」については、Webアプリケーション開発のワークフローを変える新しい試みである。具体的には、Flash Catalystとの連携機能を充実させることで実現を図っている。

通常、アプリケーションのUIデザインはデザイナが作成し、開発者はそれを受け取ってアプリケーションのロジックを作り込んでいく。しかし実際にはデザインツールによる成果物に直接ロジックを実装することはできないため、開発者はデザインを構成するコンテンツをひとつづつ切り出してアプリケーションに取り込んでゆくという作業を行う必要がある。

これに対してCatalystでは、ロジックを含むインタラクティブなデザインを作成することができる。このとき、Adobeの他のデザイン系ツールで作成したコンテンツを読み込んで利用することも可能だ。それだけでもある程度の機能を持った独立したアプリケーションになるが、Catalystの真価はFlash BuilderのプロジェクトファイルであるFXPファイルを自動生成できる点にある。

このFXPファイルはソースコードを含めて通常のFlash Builderのプロジェクトと全く同様の構成になっているため、Flash Builder側ではこれを読み込んでより深い部分のロジックを作り込んでいくことが可能となる。たとえばバックグラウンドのシステムとのデータ連携などが、UIデザインを核として行えるようになるわけだ。

Flash Catalystによるインタラクティブなアプリケーションの作成

Catalystで生成されたプロジェクトファイルをFlash Builder 4で読み込んで加工する

ただしFlash BuilderからFlash Catalystへの手戻りについては、どちらの製品も最初のバージョンではサポートないという。したがって、一度Flash Builderへプロジェクトを渡した後にCatalyst側でデザインの変更が発生した場合には、変更後のプロジェクトとのマージを手作業で行う必要がある。その場合にはFlash Builder 4に用意されたプロジェクト差分検出機能が役に立つという。

プロジェクトの差分を検出してマージを手助けする。ただし、マージ作業そのものは手作業で行う必要がある

Flash Builderからatalystへの手戻りをどう解決するかという点については、開発チームの中でもまだ正解が見つかっていないのだという。仮にFlash BuilderのプロジェクトからCatalystのファイルを生成できるようにしたとしても、外部とのデータ連携などを含むロジックが含まれたアプリケーションのデザインだけを切り出してしまって意味があるのかといった疑問が残るからだ。この問題についてはより良い解決法を模索している最中だとのことである。