次にヒューロンコンサルティンググループのマネージングディレクターで公認会計士でもある櫻田修一氏より、IFRSパートナーコンソーシアムの第1期活動報告が行われた。
櫻田氏は、第1期の活動を通して「それぞれの企業の置かれた立場が異なるため、各企業は早期に自社の適用方針を決定する必要がある」と判断、IFRS対応の「ABCモデル」と呼ばれる3方式に類型化したという。
アドバンス(Advance)モデル
グローバル経営基盤を構築し、企業競争力の強化をめざす。1兆円規模の企業向き
バランス(Balance)モデル
ビジネス基盤整備を経営上の重点領域から選択的に実行する。IFRSによる投資対効果を高めることが目的の企業向き
コンプライアンス(Compliance)モデル
IFRSによる開示ができる必要最低限レベルを実現する
「ABCモデルのうち、Aはともかく、Bですらレベルが高く、実現がむずかしいという企業は多い。我々は、まずはCを目指すところでよいと思っている」(櫻田氏) - 大半の企業は上場していたとしても、完全にIFRSに対応することはむずかしいと予測される。であるならば、業務プロセス/システムの変更は決算開示資料に必要な最低限の対応に留め、決算に関しては従来の現地基準で行い、連結のみIFRSで行うという、現実的なゴールをまずは目指すべきだというのが、同コンソーシアムの結論だ。
最後に事務局長の大久保氏より、第2期の活動に向けての方針が示された。
活動内容としては、第1期と同様に一般向けセミナーを月1回ベースで開催していくほか、より絞り込んだテーマ(連結・決算、実装方式)別のセミナー開催も予定しているという。とくに連結レポーティングや個別会計における複数元帳などへの関心が高いことから、それらに特化した分科会なども検討中だ。また、他の団体やユーザ企業との幅広いコラボレーションも目指すとしている。「第1期に比べ、より具体的な解決策/対応策を提案できる」(大久保氏)ようにすることが目標だ。
オラクルの名の下に集まったメンバーではあるが、最終的な目標は企業のIFRS対応を支援することで「国益のために、我々ができることを行っていく」(櫻田氏)ことである。IFRS導入はすでに世界の潮流であり、日本企業だけが手をこまねいている状態は許されない。またIFRSの知識/経験を有する優秀な人材の育成も急務である。強制適用が決まる2012年までにどれだけの準備ができるか、IFRSパートナーコンソーシアムがすべきことは多い。