ひまわり証券 営業企画本部 本部企画チーム 濱中郁和氏

続いて、ひまわり証券の営業企画本部 本部企画チーム 濱中郁和氏が、同社のRIAに対する取り組みを紹介した。ひまわり証券では、先物とオプションを取引するための取引システムを2003年12月から、分析のためのチャート・サービスを2004年12月からそれぞれ提供を開始した。当初、取引システムは、従来型のHTMLを使ったWebアプリケーションとして、チャートは、Javaを使ったデスクトップ・アプリケーションとして構成されていた。

ユーザー(口座開設した顧客)は順調に増えていったが、そんななかで課題になってきたのが操作性の問題だ。例えば、従来型のHTMLで構成された取引システムについて、注文が出しづらい、売りと買いの選択を間違えやすい、選択した銘柄の価格が分からない、画面遷移が煩わしいといった意見が寄せられた。

サービス当初の取引システムの画面

サービス当初のチャートの画面

また、当時3秒更新であった板(売り/買い数量や気配値の情報)画面の配信速度をはやめてほしいといった要望や、当時逆指し値しかなかった注文の条件を拡充し、イフダン注文(条件付きの売買注文)などに対応してほしいといった、機能面での要望もあった。

一方、チャートについては、見栄えをよくしてほしいというものや、当時分足ごとに更新していた頻度を速くしてほしい、チャート上から板画面を呼び出したり、注文できるようにしてほしいといった使い勝手の要望が多かった。

エクセルを利用してUI案と要求仕様を明確化

同社は、こうした意見や要望に対応するために、システムを自社で構築・運用することを決断。.NET、Javaアプレット、Flash(Flex2.0)の3つの開発環境の検討に入った。

.NETは、クライアントOSがWindows 2000以降に限定されることや、環境によっては.NET Frameworkのインストールが必要になるためサポートの手間がかかることが懸念された。また、Javaアプレットは、Javaのランタイム・バージョンによっては動作しない場合があることや、Javaランタイムのインストールとサポートに手間がかかることが懸念された。

その点Flashは、クロスOS、クロス・ブラウザで動作し、インストールとサポートに手間がかからない。グループ会社がすでにFlashで動作するサービスを提供していたことも判断を後押しした。

だが、当時は、Flex2.0は正式にリリースされていなかったため、アルファ版からベータ版へと移行していくのにあわせて、開発を順次進めるという方法をとらざるを得なかったという。濱中氏は、「ベータ版になったときに、GUIの仕様が変わっていたり、メモリー・リークなどのバグがあったりと大変な思いをした。クラスメソッドの支援がなければ完成には至らなかっただろう」と振り返る。一方、クラスメソッド側では、そうした仕様が定まらない難しい状況のなかでも、濱中氏が、要求仕様とUI案を事前に明確にしていた点が、成功の1つのポイントだったと指摘する。

ひまわり証券が作成したExcelベースのUI案と要求仕様

濱中氏が作成した要求仕様は、UI案とそれに対するアクションをExcel上に記述したものだ。まず、1つのシート上に、画面を構成するボタンや項目を配置し、完成イメージを明確化。次いで、それぞれのボタンや項目にIDを付け、IDごとにどのようなアクションを行うかを別シートに記述。意図が正確に伝わるよう、アクションについての補足説明も付けた。

「何を実現したいのか、システムの目的が明確だった。また、Flexでできることに対する理解もあった。このため、Flex標準でできることと、カスタム開発が必要な部分との切り分けがスムーズに進み、技術的リスクを早期に回避できることにもつながった」(クラスメソッドの伊原氏)