【6月】企業内クラウド向けアプリケーション・サーバ管理アプライアンスを発表
6月は、エンタープライズ・プライベート・クラウドやデータセンターで利用するためのアプライアンス「IBM WebSphere CloudBurst Appliance V1.0」が発表された。同製品は、同社のWebアプリケーションサーバ「WebSphere Application Server」をクラウド上で管理するための専用ハードウェアで、「IBM WebSphere Application Server Hypervisor Edition」を搭載する。
CloudBurst Applianceでは、Webベースの管理画面から簡単にWebSphereの仮想イメージをクラウドに配置・実行し、プールに戻すといった一連のライフサイクルの管理が行える。同製品は2つのバージョンのWebSphere Application Server Hypervisor Editionの仮想イメージを提供できるため、ニーズに応じてバージョンの使い分けに対応することが可能。また、同社のノウハウをベースに構成された特定のトポロジーが4種類提供されており、これにより仮想システムの構築のスピード化が図れる。
【7月】クラウド関連の製品・サービス「Smart Business」と構築パッケージを発表
7月、クラウド・コンピューティング向けの製品・サービス群を「Smart Business」として統合することが発表された。それまで、同社はエンタープライズ・プライベート・クラウドとパブリック・クラウドの両者を推進してきたが、それらを統一した格好だ。Smart Businessは、サービス群の「Smart Business Service」と、製品群「Smart Business System」で構成される。
Smart Businessのポートフォリオは、パブリック・クラウド、プライベート・クラウド、事前構成済のワークロード最適化システムと3つに区分されている。
同日、新ブランドでの第1弾製品として、「IBM CloudBurst V1.1」が発表された。同製品は、企業やデータセンターでのクラウド環境の迅速な構築を迅速に実現するパッケージだ。設置からわずか5日でユーザー企業に引き渡し可能な迅速さと、クラウド環境のためのオールインワンパッケージであることが特徴となっている。
IBM CloudBurstには、ラックやサーバなどのハードウェアと、仮想化や自動化を実現するソフトウェア群、利用開始に向けてのトレーニングなど、クラウド環境の構築に必要なものが含まれたサービスだ。
ハードウェア、ソフトウェア、トレーニングなどのサービスを含むトータルでの導入費用参考価格は2,448万7,500円からとなっている。今回リリースされるバージョンのコンソールは英語のみだが、利用するサービスでは日本語に対応する。また2009年中にバージョンアップが予定されており、新バージョンではコンソール画面も日本語対応となる予定だ。
【7月】IT資源を従量課金制で提供するパブリッククラウドサービスを発表
同月、仮想化したIT資源をネットワーク経由で提供し従量制で課金するパブリック・クラウド・サービス「IBM マネージド・クラウド・コンピューティング・サービス」の提供が10月中旬から開始されると発表された。
同サービスでは、同社のデータセンター内に構築されたIT資源を提供する。ネットワーク、ストレージ、CPU、仮想基盤、OS、ミドルウェアの運用管理まで提供されるが、OSとミドルウェアについては、顧客が運用する場合もある。ネットワークの接続サービスも含まれているため、顧客先から同社のデータセンターまでの通信量を負担しなくてよい。
課金制度は、顧客の業務に応じて基本使用量を設定し、それを超えた分はCPU処理量に応じて支払うという仕組みになっている。最短の契約期間は1ヵ月だが、月の途中で基本使用量の増減も可能だ。また、処理する業務量に応じて、基本使用量の2倍まで自動的にIT資源を割り振れる一方、基本使用量以上は利用させないようにすることもできる。
同サービスでは、3つのレベルの運用サービスが用意されている。レベル1は監視しか行わず、障害発生時も連絡のみ行われる。レベル2は監視・運用・障害一時対応まで行い、レベル3はレベル2のサポート内容に加えてSEによるサポートが提供される。同サービスの稼働率は99.999%を保証するという。