コムシス情報システムでは管理職をメインに、ノートPC型のシンクライアントを利用した接続も行っている。ネットブックからハードディスクを抜き取り、データ保持能力をなくした上で、指紋認証機能つきのUSBメモリからLinuxを起動して利用するシンクライアント製品(NTTアドバンステクノロジ製WarpDesk)とモバイルカードを組み合わせたシステムで、同社の「手作りシンクライアント端末」だという。

「シンクライアントの端末だけで販売されているものは少なく、自宅やモバイル用途などで使いたい仕様のものがないため自作しました」と岩本氏。利用できる機能は基本的にはスマートフォンの場合と同じだ。

管理職は独自のシンクライアント端末を利用

指紋認証機能つきUSBメモリからLinuxを起動して接続する

さらに、以前から利用されているのがiモード端末を利用してのメールアクセスだ。添付ファイルの閲覧等はできないが、外出先でメールを確認することはできる。

メールのみのiモード端末、全機能が利用できて小型のスマートフォン、画面が大きく作業のしやすいノートPC型シンクライアントの3種を必要に応じて使い分けができるようになっている。

Androidでも利用可能、新機種検証も積極的に実施

4月に試験導入が行われた段階でのユーザー数は6-7名。その後、6月には正式導入されたが、ユーザー数は12-13名とあまり変わっていない。

「約300名の社員のうち、半分程度が客先に常駐して仕事をしています。つまり、150人程度がこのシステムを必要としているわけですが、夏の新機種として発売される端末を待ってから普及を図ろうと考えたこともあり、それまでの間このシステムをより効果的に使える社員に限定して運用する計画です」と青山氏は語る。できるだけ新しい機種、高機能な機種を利用したいという考えで、新機種の試用にも積極的だ。

「東芝製のT-01Aはリモートデスクトップが搭載されておらず、利用を断念しました。Androidを搭載したHT-03Aはキーボードが搭載されていませんが、画面も大きく使いやすいのが魅力的です。画面描画等もほぼ問題なく利用できます。ただ、リモートデスクトップ機能を利用するためにはフリーウェアを活用している状態で、現在は文字入力等の機能制限があります。いずれはソフトウェアが進化し、業務で十分利用可能になると考えています」と岩本氏。今後も新機種の検証は引き続き行う予定だという。

Androidを搭載したHT-03Aでも検証中

HT-03Aで接続した社内の基幹システム

現在は利用者が、毎週使用感に関するレポートを提出している。
「出先などで経費精算等がリアルタイムにできることや、メールはPCと同様に添付ファイルも全て扱える点が好評ですね。メールの返信が素早くできることで、CS向上につながるという意見もあります」と岩本氏は手応えを語る。

現在は日本コムシスでもシンクライアントでの接続等を検証中で、将来的にはコムシスホールディングス全体への展開や、一般販売も視野に入れているという。