Change! 無理そうなことも、考え続ければいつか実現する?

残り時間もわずかとなり、最後は単体での変形ロボットの話に。柳田氏は代表格として"超時空要塞マクロス"の可変戦闘機"VF-1J バルキリー"を改めて紹介。高橋氏は、これまで対談やイベントで何度もお会いしたという"バルキリー"のデザイナー、河森正治氏から聞いたエピソードを披露した。

高橋「河森さんは、スキーに行ってクラウチングスタイルで直滑降をしている時に、飛行機と人型の中間の"ガウォーク" 形態を思いついた。子供だましでない、無理のない変形にしようと、1年かけて模型を作って確認したとか。オモチャも嘘がなく精巧にできてるけど、複雑なので変形には相当手こずる。河森さんも自分でいじっていて、"あれ? あれ? バキッ"とか(笑)。放り投げたらカシャカシャッと変形してパッと立つ、みたいなのが欲しいんですけどね」

柳田「基本的には可動部1カ所にモータが1個必要ですよね、変形する場合でも」

高橋「可動する方向に対して1個、1つの関節に2つ3つ必要になりますね。変形の仕方によっては、モータなのか油圧シリンダーなのか、とにかくもっとたくさん必要になる」

柳田「でも、飛行機型から人間型になって、しかも歩く。飛行機の時は飛ぶ(笑)。そういうものが本当にできたら最高ですよね」

高橋「ですね。"スイッチピッチ" ってボールのオモチャ知ってますか? 空中で表裏が入れ替わって色が変わるんですよ。建築家の人が作ったらしくて」

柳田「夜店で買いましたよ。多分、空中に浮いている時は無重力と同じなので、わずかな力でも変形するのかな。それも"こんなことが可能なのか!?"と思うんですが、無理だと思うようなことも、僕らの周りですでに実現してるんですよね。明治時代にテレビの話をしても"そんなものはデタラメだ"と言われただろうけど」

高橋「携帯電話もパソコンも無理だったモノだし、何に使うか分からない、欲しくもないようなモノだった。ロボットも、今の暮らしではまったく必要ないけど、いずれ当たり前になる時代が必ず来る。それが10年後なのか20年後なのか、僕にとっては死活問題ですが(笑)」

柳田「どうせ無理だとみんなが思ったら本当に無理になってしまう。皆さんも"こんなロボットがいたら"とかいろいろ自由に考えて、いろんな人とお話されるといい」

高橋「そこで、ちょっと新しいロボットのアイデアやビジネスを思いつくと、パソコンに一足先に目をつけて成功したビル・ゲイツのように、大富豪になれるかも。その答えが本の中に書いてあるかも知れない(笑)」

と、高橋氏が最後にしっかりと本の宣伝をして(笑)、トークは終了となった。

この後、観客との質疑応答でも「ウルトラセブン」に登場する合体ロボ「キングジョー」や「ターミネーター」、「トランスフォーマー」などが登場、なかなか面白い話が展開されたのだが、残念ながら文字数の関係で割愛させたいただければと思う。

高橋氏と柳田氏、トークセッション後の2ショット

会場で書籍を購入したイベント参加者には両著者のサイン入り修了証書が手渡された

ともあれ、出演者と客席が近く和気あいあいとした雰囲気の中、「史上最強のロボット!」の本文同様ニヤリとさせられるトークが続出。来場者も満足のイベントとなったようだ。

今後のロボットの発展のためにも、こうした機会が設けられるのは意義のあることと感じた。