3つの生産性向上を意識

Teamcenter 8は、3つの生産性向上を意識して製作されたという。1つは個人レベルの生産性向上。「作業を行うのは個人であり、そうした人達が企業の中で情報がどこにあるかをすぐに理解し、それらの情報がツールとして使えるようになっている状態」が望ましいとしており、同社ではMicrosoft(MS)のOutlookにTeamcenterを埋め込むことで、Outlookを開くとTeamcenterも同時につながり、さまざまなタスクの管理をできるようになっている。

また、Outlookのほか、PowerPointやWord、Excelとの連携もTeamcenter経由で可能となっており、「さまざまなアプリケーションをナビゲートする窓口として活用することができる」とする。

Teamcenterを介してMSのOfficeにアクセスすることも可能

さらに、ECADやMCADとの統合も進められており、半導体のEDAベンダ大手であるCadence Design SystemsやMentor Graphicsのツールなどとも連携が進められており、「ECAD/MCADの統合に加え、ユーザが使う環境との連携という意味でのMSのOffice連携の強化がもっとも重要な戦略」とする

ECADやMCADとの統合なども進められている

そうした意味では実際のCADデータそのものをネットワークで誰かに送ろうと思っても、容量が大きく問題が生じる可能性がある。そのため、これまでのTeamcenterでは「Enterprise JT」という形にして容量を圧縮(一般のCADの12%程度)して送信していたというが、まだ容量的に大きいとの指摘もあり、Teamcenter 8からは、さらにCAD容量の1%程度まで圧縮できる「Ultra Lightweight Precise(ULP)」を採用した。

CADデータをそのままメールで送ると容量が大きくなってしまうため、JTに変換して送信していたが、さらにULPで容量を低減することが可能となった

ULPは単に圧縮をするだけだと、エッジ部分などが粗くなって「今までの圧縮では丸が6角形になってしまったりしていたが、ULPはそういった問題を解決し、丸は丸としてみることができるくらいの再現性を実現している」とする。

要件定義から製品のリサイクルまでカバー

2つ目はアプリケーションレベルの生産性向上。「アプリケーションを活用することで、要件定義から製品出荷後のリサイクルまでエンド・トゥ・エンドで、しかも新たなデータベースの立ち上げなどを行わずに考えることができるようになる」という。

どういうことかというと、Teamcenter 8では、新たに提供された機能も含めてすべてのソリューションがプラットフォームとして提供されており、1つ1つのモジュールが連携しやすくなっている。例えば、スケジューラ。何かを設計する場合、スケジュールを元に進行されるが、これもMSのスケジュールマネージャなどと連携が可能であり、Teamcenterの画面上のツールを切り替えるだけで、スケジュール確認から他の作業にシームレスに移行できるという。

ソリューションをプラットフォームとして提供することで各モジュールの連携がしやすくなった

また、サーチ機能を強化。「新たに近傍検索に対しキャッシュレスサーチを搭載したことで、精密な近傍検索が可能となり、しかもほぼリアルタイムでの検索が可能となった。そのため、スケジュールを確認し、どの要件で、そのファイルが作られたのか、即座に調べることができるようになった」とする。

テンプレート化によりさまざまなニーズに対応

3つ目はITの生産性向上。「我々は、マルチベンダ、マルチプラットフォームに対応していることが強み」としており、IBMとの連携がこれまで以上に強みとして発揮されるという。

また、Teamcenterはテンプレート化することができるため、オプションとしてニーズに応じたフィルタをつけることで、それぞれの業界向けアプリケーションに特化したテンプレートを作ることが可能になるという。

それぞれのアプリに適したテンプレートを作製することも可能

さらに、IBMとのアライアンスにより、Teamcenterをあらゆるネットワーク上で活用することができるほか、それぞれのレイヤに対してのセキュリティなども設定することで、余分な管理負担などを軽減させることが可能となり、ひいては生産性の向上につながるとした。

それぞれのレイヤに対して個別に対応することも可能