全体の経済が低迷しているなか、製造業をはじめ企業は、予算の一律カット、新規案件の凍結などを実行するなど、厳しい状況が続いている。そのようななか、SOAはコスト削減に効果があるのか?
ガートナーの見解はこうだ。SOAは本来、ビジネス戦略の実現を目指す取り組みと連動したものであって、体質改善を特性とする設計形式だ。そのため、SOAを適用する以前の現状と比べ、いわば外科的ダイエットのような、即時的なコスト削減効果を期待するのは適切ではない。
この現状に対し、飯島氏は「予定していた、SOA基盤製品の購入を先延ばしするのは、いま、生き延びるための支出抑制ということになり、現実的な選択だ」としたうえで、「しかし、これほど経済環境が悪化する前に、SOAを導入した企業では、コスト縮減に成功しており、平均で50%の開発費低減化が実現している。資産抑制効果も上がっているなど、SOAは本格化すれば、現実に効果が高いことは認識しておくべき」と話す。
BPMがあってこそ、SOAに魂が入る
どこから、SOAに着手していけば良いのか、との点については「まず、ポートフォリオ管理が、重要な意思決定プロセス」(飯島氏)であり、「プロジェクトの優先度を考慮し、吟味していくことが必要」(同)だという。「危機管理の発想と、効果のバランスをとりながら、プロジェクトの位置づけを行い、たとえば、効果があり、危険度も低いものから始めるなど」(同)、成功させるには、慎重な対応が重要になる。
SOAを支える技術要素としてはBPMが大きな意味をもつという。BPMは、ビジネス管理の原理という側面をもつとともに、業務の可視性をもたらし、法令順守の下支えにもなり、コスト削減の切り口を提示するなど、多くの利点があるからだ。飯島氏は「SOAだけでは、具体的に何が実現できるのか、わかりにくい。BPMがあれば、シナリオが明確になる。BPMがあってこそ、SOAに魂が入る」と語り、BPMを一過性の取り組みとするのではなく、継続的なプロセス改善につなげるべき、と主張する。