プロジェクト計画案として、2009年秋から動き出すプランが提示された。「強制適用を前提とした場合でも来年春くらいまでに導入計画の第1弾を整理するのが必須だろう。2011年にファイナライズを迎える基準が多いこともあり、2011年の基準がどうなるのかを見据えつつ、ある程度修正を必要とすることを認識しながら作業を進める必要がある」という根本氏は、とりあえずの対応を考える企業にも時間が必要であると語った。
「駆け込み寺的にやるだけで、連結財務諸表をIFRS基準に変換するだけならば6カ月程度でできる。ただし人材の確保の問題や経理スタッフの稼働期間の制約等を考えると、実際にはさらに12カ月から24カ月以上が必要となる」
プロジェクト計画案 |
作業工数とプロジェクト期間の見積 |
企業は会計基準への対応と共に、英語への対応もある程度考えなければいけなくなる。任意適用の場合にはIASBが作成するIFRSをそのまま適用することが原則とされているため、当然英語で対応することになるが、強制適用になっても言語の壁は残ると考えられるからだ。IFRSの日本語訳は適時進められる予定ではあるが、当然タイムラグは発生する。また翻訳によるニュアンスの変化も存在するだろう。
さらにルールベースではなく原則ベースであるため、単純に英文を日本語訳すれば全て理解できるというものではない。きちんと読み解き、自社の実態に即した判断のできる環境を整える必要がありそうだ。
IFRSは2005年にEU域内で導入され、2011年にはカナダと韓国で導入が予定されている。海外に先行事例があるために日本企業は海外事例を参考にしようという考えを持つことが多いが、これは慎重になるべきだという。
「IFRSが導入された時の各国の情勢と、現在の日本の情勢には差がある。IFRS導入年から4年さかのぼった頃の各国情勢と現在の日本を比較して、参考にする意味があるのかをよく考えるべき。またグループガバナンス等、海外と日本では考え方が違うものも多く簡単に参考にするのは賢いやり方ではない」と根本氏は指摘する。
特にEU域内での導入前後に関して「EUはかなり短期間での導入となったため、Excelの山ができた。とりあえず導入という形で対応して、導入後に修正がかなり行われた」と参考にすべきではないとしつつ「日本企業の一部はとりあえず対応すれば良いだろうと考えているが、EUと同じ結果になりかねない」と危険性を警告した。