新しいバージョンのOracle Databaseへは差分試験で移行可能

ORACLE MASTERはパーマネントライセンスだが、対象となるデータベースのバージョンが限られている。Oracle Database 10gのGoldを持っていたとしても、それはOracle Database 11gには適用できない。Oracle Databaseはバージョンが新しくなるごとに機能が追加されるため、バージョンが変わると資格としては成り立たないわけだ。しかし移行パスは用意されており、10gにはない11gの新機能をベースに作成された試験に合格すれば、11gに対応したGoldと名乗れるようになる。

Oracleは積極的な買収戦略で自社のポートフォリオの拡充を進めており、抱えるプロダクトは9,000にのぼるといわれている。重要なプロダクトはOracle Databaseだけではない。このため、ミドルウェアやSOAに対応した認定資格としてORACLE MASTER Expertが、業務アプリケーション向けの認定試験として認定コンサルタントが用意されている。ORACLE MASTER ExpertはORACLE MASTERシリーズとして分類されている。

ORACLE MASTER Oracle Database 11gへの移行パス

ORACLE MASTERとORACLE MASTER Expertの位置づけ

「習熟した技術者がコストを減らす」- オラクル・岩田氏

今回お話を伺った、日本オラクル 執行役員 オラクルユニバーシティ 本部長 岩田健一氏

日本オラクルは今後の取り組みとして、ORACLE MASTER資格保持者の価値の向上に取り組んでいくと説明している。簡単にいえば、ベンダ認定試験のなかで、ORACLE MASTERシリーズをもっている人が一番使える、と認知されるようにヒアリングと分析、試験への反映を通じ、資格そのものの価値を高めたいという。日本におけるORACLE MASTERの資格保持者は20万人を越えたわけだが、「数を増やすことが目的でではない」とオラクルユニバーシティ本部長を務める岩田健一氏は説明する。

不景気の中、プロジェクトを迅速に進めるには「新規に作らないことが大切だ」と岩田氏は述べる。「不必要なコストを下げていく必要がある。コストメリットを実現するのはこの現状ではとても大切なことだ。プロジェクト期間が長いというのは、それだけリスクが高いことにつながる。技術習熟度の高い人間を参加させて、プロジェクト期間を短縮していくことが重要だ」

さらに岩田氏はこう続ける -「なるべく作らない、というのがキーポイント。新しく作ると絶対にバグが出るため、すでに製品に埋め込まれている検証された機能を活用してパフォーマンスを発揮させることが大事だ。たとえばセキュリティのために何かシステムを作るのではなく、データベースに埋め込まれているセキュリティ機能を使ってシステムを堅牢にしていく。今後はそういった取り組みが大切になってくる。データベースをデータベースとしてではなく、ほかに機能もフル活用して廉価にシステム構築を実現してもらいたい」