高性能ネットワークとエネルギー消費量の削減を両立

現代ビジネスが抱える課題についてタバコリ氏は「今やインターネットは世界的な商取引にとって欠かせない基盤であり、ネットワークには高性能な要件が期待されています」と語る。

高性能な要件とは、まず携帯電話やスマートフォンを含む数十億のデバイスが、数千もの大規模なデータセンターと常に接続可能なスケーラビリティがあること。同時に各種データやアプリケーションを利用できる汎用性と速度、さらには優れた信頼性やセキュリティも求められてくる。

ただし「トラフィックの増大と同じ分量でエネルギー消費量が増える、このような事態はもはや許されません」と語るタバコリ氏は、ネットワークの高性能要件とエネルギー消費量の削減を両立するために必要な3つのポイントを解説した。

世界的な商取引の基盤として、より高性能な要件が求められるネットワーク環境

ポイントの1つ目は、製品ライフサイクルの見直しを図ることだ。

ハードウェアを作るには多くのエネルギーを必要とするため製品自体を長寿命化し、再利用の拡大や廃棄物の抑制を促すのである。ネットワーク機器が売れなくなるため、製品の長寿命化は一見するとジュニパーにとって不利なように思えるが、タバコリ氏は「長寿命化は私たちが古くから取り組んでいる目標の1つで、10年前のルータが今でも使われているような例は数多くあります。仮にジュニパーが80%のマーケットシェアを締めるような企業であれば、製品の長寿命化がビジネスと矛盾するかもしれません。しかし、私たちはユーザーに最良の製品を納入することでシェア拡大を目指すビジネスアプローチのため矛盾が発生しないのです」と語る。

既存ユーザーには現在の製品を交換するのではなく買い足してもらうことを前提に販売し、新規ユーザーには製品寿命の長い優れた製品の魅力を知ってもらう、これがジュニパーのアプローチなのである。

2つ目のポイントとなるのが、装置の規模や機能数に関わらず可能な限り効率の良い設計をすること。これは知的統合やユーティリティの最大化などを通じて、省スペース化およびエネルギーや冷却コストの節約に貢献するというものだ。

そして最後のポイントが、従来は物理的なモノや移動が必要だった部分について、可能な限りバーチャル化していくことである。例えば出張をビデオ会議に変更したり、通勤からリモートアクセスを使った在宅勤務にしたりと、エネルギー効率を高める方法は数多く存在する。

ネットワークの高性能要件とエネルギー消費量の削減を両立するために必要なポイント