限りある資源やエネルギーをいかに効率良く利用するかは、現代社会を生き抜く企業にとって最優先で取り組むべき命題といえる。そこで本誌は、ジュニパーネットワークスで2008年11月よりグリーンITに関する全社的なタスクフォースの取りまとめを行っているオリバー・タバコリ氏に、企業が抱える課題や同社が実施しているグリーンITへの取り組みについて話を聞いた。

企業がプレッシャーを感じる省エネ対策

ジュニパーネットワークス サービスレイヤー技術(SLT)事業グループ アーキテクチャ・バイス・プレジデントのオリバー・タバコリ氏

「省エネは地球温暖化の問題と併せて、全世界で注目されています。これらの問題はビジネスに大きな影響を及ぼすものです」と語るのは、ジュニパーネットワークス(以下、ジュニパー) サービスレイヤー技術(SLT)事業グループ アーキテクチャ・バイス・プレジデントのオリバー・タバコリ氏だ。

同氏によれば、最近は高騰するエネルギーコストが運用経費の中で大きな割合を占めるようになったのはもちろん、グリーンITへの取り組みを行っていない企業にマイナスイメージがつく傾向が強くなってきている。また、二酸化炭素の排出総量規制や排出権取引の制度など政府レベルで各種法規制の動きが活発化しているのも、企業がプレッシャーを感じる大きな要因だという。

こうした背景から、ICTベンダーでも選択基準としてエネルギー効率の重要性が高まりつつある。例えば、Verizon Businessは通信機器の納入ベンダーに対してエネルギー効率を20%以上改善する目標を掲げ、通信業界で世界初となるエネルギー効率基準を発表。British Telecomでは「21世紀ネットワーク計画」の一環として、データセンターの規模や処理能力を落とすことなく消費電力を8Mワットから3.2Mワットまで効率化すると宣言している。

エネルギー効率の改善および通信業界で世界初のエネルギー効率基準を発表したVerizon Businessと、データセンターの消費電力削減を宣言したBritish Telecomの例