iPhone導入のシナリオ - Oracleのケース

「iPhoneはほかの端末よりも業務フローに組み込みやすい」と西脇氏。私物であっても問題が起こるようなケースは少ないという

エンタープライズ向けプロダクトやソリューションを提供する世界最大規模のベンダであるOracle。同社は自社プロダクトを活用する方法として、すべてのモバイルガジェットに対応するとしており、iPhoneへの対応も進めている。Oracleは世界規模で8万人ほどの従業員がいるが、うち4,000人以上がiPhoneを活用している。しかも、会社が配布して使わせているといった形ではなく、ほとんどのケースで自主的に購入されたものとされている。これはiPhone導入事例として興味深い。

iPhoneはビジネスガジェットとして活用できるが、同時にプライベートデバイスとしても活用できる。こうした類のデバイスはどうやって業務に取り込めばいいのか、というのは頭の痛い問題だ。Oracleの場合、無償配布はしていないものの、iPhoneを購入するための手はずを簡単にするサービスを提供している。申告があれば、通話/通信料も負担してくれるという。

日本オラクルにおけるiPhoneの保有率はどうかといえば、たとえば広報で50%、システム事業統括本部で50%を越えている。製品部門であれば4割ほどだという。特に端末代金が実質的に無料になるプランが登場してから、iPhoneを使ってみる従業員が増えたという。無償ならとりあず使ってみよう、というきっかけからはじまり、その便利さに気がついて次の活用手順を模索する…という良い循環になっているそうだ。

企業導入を支えるバックエンドのサーバシステム

個人ユースでの導入となると、バックエンドにはGoogleのサービスを使う人が多いだろう。Google CalendarやGmailをベースサービスとして、iPhoneからメールやスケジュールをチェックするという使い方だ。しかし機密保持を要求される企業ユースではこの使い方は難しいといえるかもしれない。

ライトユースであれば、たとえばGoogle Appsを契約してiPhoneをフロントエンドとして使う方法もあるし、本格的にシステム構築を考えるなら、Oracleが提供しているプロダクトやソリューションを導入して、iPhoneはそうしたエンタープライズシステムへアクセスするためのデバイスとして活用する方法もある。自社の用途に合わせてiPhoneアプリケーションを開発するのもひとつの手段といえる。

どういった形態で採用するにせよ、ビジネスシーンにおけるiPhoneの強みとなる「機動力の高さ、スピード、チャンスを逃さない活用」を殺すことなく、同時にデータアクセスをサーバに集約しアクセスを制御してガジェット紛失に対するセキュリティの確保、運用方針の策定、デバイス費や通信費の負担方法の検討、従業員のモチベーションを維持する仕組みを組み上げるといった取り組みを行うことが重要なポイントとなる。

なんとも個性的な西脇氏のiPhone。公私ともにスケジュールはすべてiPhoneで管理している。「ライフログとしてもiPhoneはものすごく優秀。自分がいつ、どこで、何をやったか、すべてココに入ってます」(西脇氏)