記者会見にあわせて、授業の様子を公開した有功東小学校では、パソコン教室に30台のタブレットPCを導入。5つの丸い机に、班ごとに分かれてグループ学習などに活用している。
今回は、小学6年生社会科「源頼朝と鎌倉幕府」の単元において、タブレットPCを使って学習する様子を公開した。鎌倉時代の前の平安時代は、貴族とそれ以外の人々の暮らしとの環境に大きな差があることを学習しており、鎌倉時代の単元導入部では、まず、鎌倉時代の暮らしの様子がどうなっているのかということについて意見を交わした。
授業では、教科書に掲載されている武士のくらしの資料を、児童1人ずつのタブレットPCの画面に表示し、そこに思ったことを自由に書き込むことができる。グループごとにタブレットPCに搭載されたOneNoteの機能である「ライブ共有セッション」を活用することで、リアルタイムでお互いの書き込みを共有できるのも特徴だ。
また、書き込んだ内容について、グループごとに代表者が意見を取りまとめて発表。作成された資料を児童それぞれのPCに表示したり、プロジェクタを通じて児童全員が共有することができる。
同校の本岡朋教諭は、「模造紙などを使ってお互いに書き込むといった学習に比べて、同じ向きで、自分の視点で資料を見ることができるため、児童一人一人の集中力をあげることができる。また、ペン入力による文字のコミュニケーションを行うことで、気がついたことを随時書き込むことができ、時系列に流れされて発想が留まってしまうことも排除できる。そして、発表しやすい環境が実現でき、学習において、より広がりや深まりが期待できる」としている。
さらに、「数学の授業では、間違えた計算の方法をひとつひとつ戻すことで、どこでつまずいたのかを理解することができる。結果だけを求めるのではなく、プロセスを学べる点で、従来の学習方法とは大きく異なる。また、授業では5秒間隔ごとに児童全員のタブレットPCの内容を、プロジェクタの画面に表示しており、つまずいた児童は、それを見てヒントを得て解決するといったこともできる。
ノートでは色で書いたところが消せなかったり、限られた色しか利用できないのに対して、タブレットPCでは様々な色が使える点に喜んでいる児童も多い。また、見せることを前提としたきれいなノートを作ることに意識がいってしまう児童もいたが、タブレットPCを利用することで、書いたものを自由に移動でき、考えるためのノートづくりができるようになった」という。
公開授業は4時間目に行われたが、児童の間からは「6時間目もこの授業の続きをやりたい」という声があがっていた。