和歌山市は、マイクロソフトと連携して2年間に渡り取り組んできた「Wプロジェクト」の成果について発表した。

同プロジェクトは、2007年度からスタート。和歌山市内の小学校52校に1300台のタブレットPCと、Microsoft Office OneNote 2007を2007年10月に配備し、児童の基礎学力向上に関する共同研究および教員の情報化研修によるICT活用指導力向上への取り組みを行ってきた。

マイクロソフトが推進するNEXTプロジェクトの一環に位置づけられ、和歌山市の頭文字であるWを冠として、Wプロジェクトとしている。

和歌山市の大橋建一市長

マイクロソフトでは、教員が授業や校務で活用できるようなテンプレートの提供や、技術支援、研究アドバイザーの派遣などのほか、マイクロソフトなどが共同開発したe-Learning型の研修カリキュラムである「ICTスキルアップオンライン」を導入し、教員に対する実践的なオンライン研修を実施してきた。

6月9日に和歌山市役所で行われた会見で、和歌山市の大橋建一市長は、「和歌山市では ICTを活用した児童の基礎学力の向上という目標を掲げており、ICTを活用した創造性豊かな、質の高い教育に取り組んできた。Wプロジェクトを通じて、その効果が証明されたといえる。また、教員がICTを使うことで研究を深め、質の高い教育につなげている。こうした成果が、和歌山から全国に広がることに期待している」と語った。

和歌山市教育委員会の大江嘉幸教育長

また、和歌山市教育委員会の大江嘉幸教育長は、「PCを活用することで、子供の目に輝きが見られるようになった。また、ICTの活用によって、教員の指導力があがっている。」

「さらに、プロジェクトの推進によって、世界中の指導者と交流を図ることができるという新たなメリットもあった。プロジェクトの成果は、こうした3つの成果に集約され、広い範囲から子供たちの学習能力向上に役立たせることができた」などとした。

マイクロソフトの執行役常務パブリックセクター担当・大井川和彦氏

一方、マイクロソフトの執行役常務パブリックセクター担当 大井川和彦氏は、「NEXTプロジェクトは、当社が取り組みプロジェクトのなかで、最も成功したものといえる。そのなかでも、Wプロジェクトは市内の52校、約1万人の児童、約600人の教員を対象に実施した大規模プロジェクトであり、学習向上を目指した新しい教育モデルを提示できたこと、教師のICT活用指導能力の向上と児童の学習意欲向上が学術的にも実証できたことに意味がある。ICTを活用した学習回数が多いほど、児童が学習を好きになり、学習意欲が高まるという結果が出ている」とした。