最適化によりより高速な動作を実現
AndroidのMIPS対応だが、具体的にはAndroidのVirtual Machineである「Dalvik」の最適化およびライブラリの最適化が施されることとなる。6月末までに最適化が施される見通しで、それによりMIPSコアでこれまで以上に高速なAndroidを実現することが可能となるという。
MIPSアーキテクチャを採用したSoCで、初めにAndroidに対応を表明したRMIの対応について、同社のMiller氏は、「RMIとしては、(MIPSのAndroidへの対応により)ベストなプロセッサアーキテクチャを選択したと思っている」と語る。特にコンシューマやマルチメディアの分野で強みを発揮できると考えており、「(RMIのプロセッサである)Alchemyを用いれば、携帯電話にも対応できるし、それ以上の大きなモニタを搭載した機器にも対応できる」とする。
すでにRMIとしても、Home Media Player向けのApplication Development Kit(ADK)を用意。今回、デモで見せてもらったものは、動作周波数600MHzのAu1250を搭載、10.4型LCD(1024×768)のモニタ(タッチセンサには未対応)で表示でき、Wi-Fiやイーサネットにも対応している。このほか、基板レベルのADKでの提供となるが、タッチセンサに対応したモデルも検討されているという。
RMIのADKを実際に動かしところ(Android携帯と比べるとその大きさが良くわかる。これだけ大きいと、確かに1画面にすべての情報が入るし、多少下へのスクロールも必要だが、iGoogleの表示も楽に見れるのが分かる) |
大きな画面でのAndroidの活用は携帯電話での使用に比べて色々なアドバンテージを生み出すという。例えば、「画面領域が広いため、ブラウザを開いてもスクロールする必要がなくなるほか、各種アイコンは携帯電話ではページをめくっていたが、これだけ大きいと1つのページですべてが見れたり、サムネイルの表示も高速にできる」というわけである。ちなみに、各種のアプリケーションの起動はというと、まだ最適化されていないAndroidとのことだが、レスポンスはかなり早く、XScaleの時と同じ程度の快適さを感じた。
次世代の「Au 1300」ファミリも開発が進んでおり、動作周波数667MHzの「Au1350」ではDDR2-667への対応のほか、3D表示への対応、Acceleration Engine(MAE2)によるHDデコードへの対応、AES-128への対応などが図られる予定で、「3Dナビやメディアプレーヤ、メディアPND(mPND)などへの活用も可能になる」という。
また、Androidの活用により新たなカテゴリが登場する可能性も出てきた。RMIでは、それを「Cheap Laptop」と呼ぶ。既存のLaptop(ネットブック含む)よりも小さいが、スマートフォンよりも大きなモニタを搭載するカテゴリで、具体的には4~7型程度のモニタでAndroidが稼働するというもの。
Miller氏は、「我々はすでに勝利したMarketをいくつも持っている。今後はモバイル機器にもハイパフォーマンスでありながら低消費電力が求められる。確かにXScaleやAtomもハイパフォーマンスを実現できるだろう。しかし、低消費電力化に疑問が残る。バッテリ駆動の機器に対し、低消費電力性能はカギになる。MIPSはその最適解を持っていると考えられる」とMIPSの強みを強調する。
一方のMIPSも、OESFに積極的にアプローチしていくことで、組み込み向けAndroidという分野での存在感を増していきたいとしている。OESFの中心が日本であるため、MIPS本社などとのインタフェースになる日本法人の役割は自然と大きなものとなるわけで、「これまで、Androidに対する機器メーカー側の興味ははっきりとしなかったが、OESFが発足し、こうした機器メーカーが加入することでAndroidへの取り組みを鮮明にした。そうなれば、デバイスメーカーも積極的に関わる必要がある。MIPSでは、そうして関与することで、多くのライセンサにOESFに入ってもらう土壌を作る役割があると思う。そして、その務めを日本法人が中心となってやっていくつもりだ」とし、日本でさらなる活動の強化を進めていく指針を示した。