静岡県の東部にある富士市では、職員が業務に利用するPCの管理のためにCitrixのXenAppとProvisioning Serverを組み合わせ、運用コストを大幅に軽減させることに成功している。全国の自治体から見学者が次々と訪れるというシステムについて、構築担当者から話を聞いた。

多拠点にまたがる多数ユーザーを支援

情報政策課が入っているのは富士市庁舎本館の隣にある「消防防災庁舎」と呼ばれる建物。免震構造の建物で、サーバルームもこの建物の中に設置されている。

富士市は、静岡県東部地区に位置する人口26万人超の特例市だ。市役所の職員数は平成21年度で2,444人となっているが、市役所のシステムに接続されたPCを利用するために発行されているアカウント数は約5,000名分ある。これは、市役所勤務ではないが関連の深い業務を行っている施設が市内に散在しているためだ。

拠点数は約150にも達し、学校や病院、まちづくりセンターなどが該当する。こうしたユーザーのPC環境を整備し、ヘルプデスク業務などを通じて運用支援を行っているのが総務部情報政策課のシステム開発担当なのだが、人員は4名しかいない。4人でOAシステム開発運用やネットワーク運用といった業務をこなすため、市内15か箇所の拠点のどこかにいるユーザーから問い合わせや障害報告を受けたとしても、簡単に出向くわけにはいかないことは容易に想像がつく。

極力トラブルが発生しない安定したシステムとし、かつ「使い方がよく分からない」といったPCに不慣れなユーザーに対する支援も遠隔から効率よく行えるようなシステムを構築しておかないと業務が回っていかないことになる。同市が導入したCitrixのソリューションは、こうした課題を前提としたものだ。

富士市では、職員が利用する端末としてシンクライアントを採用し、バックエンドにはXenApp(Citrix Presentation Server 4.5、以前MetaFrameと呼ばれていた製品の後継バージョン)と、Citrix Provisioning Serverを組み合わせてサーバベース・コンピューティングを実現している。なお、現在のシステムは2008年1月に全面更新したものだ。

それ以前、2001年10月からの6年は、Citrix MetaFrame 1.8やCitrix MetaFrame XP Enterprise、Citrix Presentation Server 4.0 Enterprise Editionといった製品を利用して比較的シンプルな構成のサーバベース・コンピューティング・システムを運用していたが、全面更新に当たってシステム構成を見直し、仮想化のメリットをより多く引き出せる構成に変わっている。