グレープストーンは、「東京ばな奈」「ねんりん家」「銀のぶどう」といったブランドでのお菓子の製造・販売のほか、食器などの小売業務、陶器の絵付け教室などを運営している企業だ。従業員は約600名。首都圏を中心に30店舗以上を展開している。

「東京ばな奈」の店舗

グレープストーン 情報システム開発室 マネージャ
佐々木隆氏

グレープストーンのシステム化は、情報システム開発室 マネージャの佐々木隆氏が約9年前に入社してから本格化する。それまではメインフレームを中心とした業務システムは導入されていたものの、情報系についてはまだIPXベースのグループウェアがあるだけで一部の社員が掲示板や社内メールを利用していたが、それもリアルタイム性とはかけ離れたものであった。またデータはNetWareサーバによる共有で、主としてExcelデータを中心に管理されていたという。佐々木氏が入社後、徐々にTCP/IP系ネットワークへの切り替えとオープン系システムへの移行を実施していったという。

そして佐々木氏が、情報系システムで最初に取り組んだのが、社員間のコミュニケーションを図るためのグループウェアの導入だ。導入にあたりノーツやExchange、スターオフィスといった当時主流となっていた製品群も検討したそうだが、佐々木氏は入社前のSI会社勤務時代、サイボウズのシステムの提案を積極的に行っていたこともあり、最終的に操作が直観的でわかりやすく、またWAN環境においても速度遅延が生じにくいHTTPプロトコルをベースにした「サイボウズOffice」を導入することにしたという。佐々木氏は「サイボウズ製品の操作性は、パソコンにそれほど詳しくない人にとって、うってつけでした」と語る。

佐々木氏は当時を振り返り「(利用者のスキルを考えると)Exchangeやノーツを導入しても失敗していたでしょうし、またクライアントソフトの管理やユーザサポートだけで私自身もオーバーフローしていたと思います。そういう意味でもWebベースでの管理というのは、情報システム部門の負担軽減もありますが、社員への素早い利用の浸透を考えると絶対必要でした」と語る。そして、2000年7月よりグループウェアの「サイボウズ Office」を、導入し、社内での情報共有化を進める。導入当初佐々木氏は「壊れることはないから、とにかく使ってみてください」と利用を促したという。

また同社では、2001年6月より「サイボウズ Office」と同様にWeb上で簡単に構築・運用できるデータベースの「サイボウズ デヂエ」を導入した。デヂエは事業所や店舗のアドレス情報管理から始めたそうだが、その後次々とライブラリ (データベース) が追加され、今ではライブラリ数は50を超えている。中には、個人情報や機密情報が記載された紙やデータをいつ誰が何の目的で取り扱い、最終的にどう処理(溶解処理やデータ末梢)されたかを管理する機密情報管理台帳、社員が業務中に怪我をした場合を想定した事業所ごとの労災病院の一覧、所有通信回線の情報と月額料金の管理、ITハードウェアの資産管理やソフトウェアのライセンス管理など多岐に渡っている。

個人情報の取り扱いを管理する台帳