6月2日(太平洋夏時間)、前日に開幕したCommunityOneに引き続き、「2009 JavaOne Conference」がスタートした。6月5日までの4日間、会場であるカリフォルニア州サンフランシスコのモスコーニ・コンベンション・センターは世界中から集まったJava開発者の熱気に包まれる。
幕開けとなるキーノートセッションのホスト役はSun MicrosystemsのCheif Gaming OfficerであるChris Melissions氏が務めた。同氏が最初に紹介したのは、JavaFXとProject Darksterを用いて作られたアプリケーション「DarkChat」。これはマルチユーザ対応のビジュアルなチャット環境で、JavaOne来場者が参加してコミュニケーションが行えるようになっている。参加者はマウスのクリックやドラッグによってチャットに参加したり、自分のチャットルームに他人を招待することができる。JavaOneは開発者のための祭典であり、開発者どうしで積極的にコミュニケーションを行ってほしいというメッセージが込められている。
続いてSun Microsystems CEOのJonathan Schwartz氏が登場。同氏はJavaがエンタープライズからモバイルまであらゆる場所に浸透していることを強調し、それを証明するかのようにパートナー各社からのゲストを次々と壇上に招待して、さまざまなJavaの活用事例を紹介していった。
この日登壇したゲストは以下の通り。
- James Barrese氏(eBay Inc.) … 1億5,000万以上のアイテムの販売を支えるビジネスのベースとしてJava EEが活躍しているとのこと。
- Alan Brenner氏(BlackBerry) … Javaテクノロジのみで作られた携帯電話のデモンストレーション。
- Don Eklund氏(Sony Pictures) … Blu-ray DiscコントロールにJavaテクノロジが活用されているという紹介と、Javaを用いて実装されたというPlayStation 3のBD-LIVE(48Mbpsのネットワークレートに対応する)のデモンストレーション。
- Lowell McAdam氏(Verizon Wireless) … モバイル市場におけるサービスプロバイダーの重要性を説くことでJavaの市場における価値を説明した。
- Diane Bryant氏(Intel) … Schwartz氏は、ハードウェアベンダとの協力によってJavaの力をいっそう効果的に引き出すことができると説明。
- Paul Ciciora氏(CBOE: Cicago) … 1秒あたり30万、1日あたり25億のトランザクションを、JavaテクノロジとIntel Xeonプロセッサを利用したシステムによって処理しているとのこと。
例年、JavaOneのキーノートではこのようにさまざまな方面のゲストを呼んで対談やデモを行うのが恒例となっているが、今年は特に早いテンポで会が進められたように思えた。それだけJavaが多方面で活躍しているということを印象付ける狙いがあったのかもしれない。
さて、順番が前後してしまうが、Schwartz氏が発表に使用したスライドには「1 Billion Java Desktop」というキーワードの横に「New! Java SE 7 SDK」の文字が、「JAVA IN EVERY ENTERPRISE」のキーワードの横に「New! Java EE 6 SDK」の文字を発見した。同氏は詳しく説明しなかったが、実はこの日、SunはJava SE 7とJava EE 6の"Preview版"なるもののリリースを発表している。ただし、これは特に正式リリースが近いことを表すものではない。Java SE 7およびJava EE 6の最新動向や、このPreview版の位置づけなどについては後ほど別記事で紹介したい。