ITを利用してのコスト削減方法として提案されたのは、ユニファイドコミュニケーション(UC)の活用だ。「1つはWeb会議を活用しての出張コストの削減。経費だけでなく移動時間でロスされる生産性も削減される。もう1つはソフトウェアベースのVoIPソリューションによる通信コスト削減。対応するソリューションは多数あるが、それぞれが独立しているのでは使いづらい。一気通貫で利用できることが重要。マイクロソフトはActive DirectoryによってIDを一元管理する等でこれを実現している」と佐分利氏は語った。

マイクロソフトのUCソリューション

NECパーソナルプロダクツを4割の出張費を削減

NECパーソナルプロダクツ プロセス改革推進部長 皆川達哉氏

2008年10月に実際に導入したNECパーソナルプロダクツでは、LiveMeetingとチャット利用が急激に浸透し、出張費用は前年同月比で39%削減という大きな効果が見られたという。出張費、携帯電話利用料金、固定電話料金を綜合したコミュニケーションコスト全体では前年同月比13%の削減が実現された。

「現在携帯電話料金と固定電話料金はあまり削減できていないが、これはアナログ交換機が残っているため。いずれこれをなくすことで、間違いなくこのコストはゼロになるはず」とNECパーソナルプロダクツ プロセス改革推進部長の皆川達哉氏はユニファイドコミュニケーションへの期待を語った。

NECパーソナルプロダクツは昨年の10月の導入以来効果が現れ、今年の1-4月の出張費は対前年比39%の削減になったという

ユニファイドコミュニケーションはマイクロソフト自身も導入しており、投資対効果は240%、年間コスト212億円以上の削減に成功している。 「従来の会議システム等は、システムの都合による縦割りだった。これからは人を中心として連携するシステムが求められる。皆さんもぜひ社内でユニファイドコミュニケーションを検討いただき、人を中心としたテクノロジを中長期の計画に導入いたきたいと考えている」と佐分利氏は語った。

ソフトウェア+サービスがITの未来

講演の末尾では、次世代ITとしてクラウドについて佐分利氏は「クラウドへの流れは変わらず、今後クラウドは皆さんのIT計画の中ではぜひ検討する必要があると考える。しかし、これまでの投資を捨てるのではなく延長する機能と考えるべきであり、一夜で変わるものでもない。業界全体でも、ハードウェアやソフトウェアをコアビジネスとしてきた企業がクラウドに傾き、クラウドをメインとしてきた企業がオフラインでも利用できるソフトウェアを提供するようになってきている。ソフトウェア+サービスという流れを感じる。マイクロソフトでは従来型のソフトウェアのみや、SaaSのみになるとは考えておらず、両方が統合されていくのがITの未来だと考えている」とコメントした。

マイクロソフトの提供するソフトウェア+サービス。佐分利氏は、すべてがクラウドやSaaSに行くのではなく、自社運用のオンプレミス型と統合されていくと述べた