クラウドサービスやユーザーインタフェースに注目が高まる中、クロスプラットフォームのUI開発フレームワーク「Qt」を提供するQt Software(フィンランドNokia)が着実に戦略を進めている。「目標はUI/アプリケーション開発のデファクトスタンダードフレームワーク」と、Qt Softwareのマーケティングを担当する佐相宏尚氏(ノキア・ジャパン Qt Softwareビジネスディベロップマネージャー)は語る。

東京ビッグサイトで5月15日まで開催された「第12回組込みシステム開発技術展(ESEC)」で、佐相氏に、Qt Softwareのオープンソース戦略、今後の方向性などについて話を聞いた。

ノキア・ジャパンQt Softwareビジネスディベロップメントマネージャーの佐相氏(左)、同フィールドサービスエンジニアの朝木卓見氏

ESEC会場のブースでは、Qt Softwareの最新技術が展示されていた。写真は「S60」で動くQt(現在「Qt for S60」は技術プレビュー、端末は「Nokia 5800 XpressMusic」)

Qtは、オープンソースのクロスプラットフォームUI開発フレームワーク。Qtを使えば、一度開発したアプリケーションのソースコードに手を加えることなく、同じアプリをさまざまな端末で動かすことができる。

これまで、商用ライセンスとGPLのデュアルライセンスで提供してきた(Trolltechは、MySQLとともに"デュアルライセンス"というオープンソースの新しいビジネスモデルを確立した1社だ)が、2009年1月に「Qt 4.5」ではLGPLを加えることを発表、約束どおり、3月にLGPLオプションが加わったQt 4.5をリリースした。5月には、ソースコードのレポジトリを公開し、コミュニティが自由にQtの開発作業に参加できるよう体制を整えた。

佐相氏はまず、Qt 4.5の強化点から紹介する。

4.5では性能の強化が大きな特徴となる。多機能&高性能を目指し、「描画は20 - 30%改善されている」と佐相氏。このほか、WebKitを最新版にするなどWebKitとの統合を改善、NetScapeプラグインが可能となった。Mac OS X対応も強化されている。