ブレードサーバは、シャシーとブレードの組み合わせがベンダごとに固定されるため、ベンダ選びも重要になる。HP、DELL、IBM、日立といったあたりが市場でもよく見かける主要ベンダといえるだろう。

ブレードサーバの選択では、実装密度がまず気になるところだろう。これは、シャシーのサイズとシャシーごとの最大ブレード搭載数で判断できる。HP BladeSystem c-Classでは、6Uサイズで最大8ブレードのc3000と、10Uサイズで最大16ブレードのc7000の2種類のシャシー(HPでは"エンクロージャ"と呼ぶ)がある。IBM BladeCenterでは、7Uサイズで6ブレードの"S"、7Uサイズで16ブレードの"E"、9Uで14ブレードの"H"など、実装密度の異なる幅広い製品ラインナップが用意される。実装密度が小さい場合はラックマウントサーバとの選択が悩ましいが、複数のサーバを統合管理するなど、ブレードサーバならではのメリットがある上に、電源効率なども独立したラックマウントサーバを複数運用するよりも有利になることがポイントとなるだろう。なお、電源に関してはデータセンター等での運用を前提とした200V給電の製品が主流だが、オフィスでの使いやすさに配慮した100V給電モデルや、通信事業者向けの直流給電モデルなどもあり、重要なチェックポイントとなっている。

ブレードサーバでは多数のサーバを高密度に実装する都合上、運用管理に対する支援も重要になる。ベンダごとに独自の運用管理ソフトウェアなどを用意しているため、その使い勝手や既存の運用管理体制との整合性なども忘れずにチェックしておきたい。

ブレードサーバは、2000年代初期に登場してからしばらくはなかなか市場に浸透しなかった。シャシーが比較的高額で初期導入コストがかさんだ点や、シャシーが故障した場合に複数のサーバがまとめてダウンしてしまうリスクがあること、個別にディスプレイやキーボードを接続するよりもネットワーク経由のリモート管理が想定されていること、などを気にするユーザーが多かったようだ。しかし、現在ではエコロジーの観点からIT分野での消費電力を気にするユーザーも増えており、高効率なブレードサーバが再び脚光を浴びている状況だ。また、サーバの仮想化が実用段階に入ったことから、ブレードサーバを仮想化プラットフォームとして見直す動きもある。

性能面でも、初期には実装密度最優先でノートPC用のコンポーネントをブレードに使用する例などもあり、性能を抑えてでも密度を追求するというデザインが目立ったが、現在はプロセッサの電力効率が向上した結果あまり見劣りがしないレベルになっている。

HPではブレードサーバのシャシーに搭載できる「ストレージ ブレード」としてHDDやテープドライブなどを用意しており、柔軟なカスタマイズが可能なコンポーネント化されたサーバ、とでも言えるような製品に発展している。シャシーやブレードの標準化が進展するようなら、ベンダの垣根を越えた柔軟な組み合わせが実現するかもしれない。

また、ネットワークの分野でのリーディングカンパニーであるCiscoは、ネットワークの観点からコンピュータアーキテクチャを見直した新たな"Datacenter 3.0"コンセプトを提唱しており、それに基づくブレードサーバとして"Unified Computing System"を発表している。ネットワークベンダがサーバを製品化した、として注目されたが、これは仮想化の普及を踏まえ、増大する一方のトラフィックを効率的に流すネットワークを考える過程でサーバを見直した結果、ブレードサーバに行き着いたといった位置づけの製品となっている。従来はサーバの内部に用意されていたバスやコンポーネント間のインターコネクトを一種のネットワークと見なし、サーバの外部に出した結果、サーバには最小限の要素だけを備えたブレードサーバの形が最適という結論に至った、というものだ。この動きも、今後のブレードサーバの発展を考える上では大いに示唆に富むものといえる。