同社チップを搭載した各種デモ
実際に同社のチップを搭載した機器のデモも複数見せてもらえたので、以下で印象に残ったデモの紹介を行いたい。
まず始めのデモは、FMラジオを用いたBC7820の活用。ラジオで受信したFMのデータをBluetoothでスピーカ側のBluetoothに飛ばし、スピーカで音を出すというもの。デジタルラジオにももちろん対応している。
2つ目のデモはコンティニュア・ヘルス・アライアンスでの使用を想定したもの。実際に市販されているオムロン ヘルスケアの手首式血圧計に通信モジュールを搭載、BluetoothでPCに自動的にデータを送信する、というもの。先日のコンティニュア・ヘルス・アライアンスのデモで使用された血圧計の試作品は外部に送信モジュールが付けられていたが、こちらは内蔵されており、より実用レベルに近づいた感じとなっている。
3つ目は村田製作所のモジュールを用いてPDAで無線通信を行うというもの。実際は各種法律などの問題で無線では電波は飛ばしていないが、有線接続でInternet Explorer(IE)を立ち上げ、ネットへの接続ができていることが示されていた。
4つ目はAndroid上にSynergyをポーティングしたもの。Androidのプロファイルだとヘッドセットはモノラル対応であるが、CSRのプロファイルを用いることで、ステレオ対応が可能になるという。実際に海外製のワイヤレスステレオヘッドホンで試聴してみたが、確かにステレオになっていることが確認できた。ちなみにステレオヘッドホンだが、試聴には両方をケーブルで接続していたモデルを使用したが、CSRのチップを搭載したモデルとしては、この部分もケーブルレスになったものも存在しているとのこと(ただし海外製品市場で流通しているとのこと)。
5つ目は、台湾Mobinnovaのスマートフォン「Mobinnova ICE」を活用したデモ。Mobinnova ICEにはUniFiとBlueCore 4が搭載されていることがアナウンスされている。OSはWindows Mobile 6.1だが、デモではAndroidを試験的に搭載したものも展示。いずれのモデルにおいても、ネットワークへの接続などができていた。
最後は、BC7830を用いたGPSのデモ。こちらのOSもAndroidを用いている。インターネットに接続、Google Mapのデータを受信して、GPSデータと合わせて画面で合成するというもの。比較用に通常のナビゲーションシステムも置かれていたが、当たり前のことだが同じ道路を表示していた。また、同時にヘッドセットを用いての通話を実施、GPSが動いているにも関わらず、遅延やノイズなどがない通話が行えた。
ちなみに、日本で市販されているBluetoothヘッドセットに搭載されているBluetoothチップはほぼCSRとのこと。特にステレオヘッドホンなどの分野に注力しているという。また、日本では、携帯機器のほか、PC、ゲーム機、車載機器、デジタル家電の分野に注力していきたいという。中でもゲーム機、車載、デジタル家電の3分野は日本の市場規模が大きいため、特に注力しており、「社内では、それぞれの分社で市場シェア50%を獲得することを目指すと言っている」(同)とするほどである。実際の全社に対する日本市場の売り上げ比率は20%程度。「日本市場は世界に先駆けて新技術を導入していく地域。ここで、カスタマに技術を提供していくことが、CSRの成長に寄与するはずだし、カスタマが世界に製品を提供していく手助けにもなるはず」と横山氏は語る。最終的には、日本市場の各分社のシェア拡大を進めていくことが、他地域の奮起を促すことにつながるとしており、今後もカスタマの反応を見て、それをフィードバックしていくことでConnectivityの分野におけるNo1の地位を常に獲得して行きたいという。