メッセージラボは、SaaSでのセキュリティサービスを提供しているが、SaaS型のメリットについて山本氏は、セキュリティのスペシャリストを社内におく必要がない、ブラックリストの更新など日々のメンテナンスが不要、機器が不要、月額使用料という料金体系なのでコストが簡単に試算でき、予算化しやすい点を挙げた。また、グローバル展開を行っている企業には、日本で一元管理できるというメリットもあるという。
スパムやウイルス対策については、すでに多くの企業で導入済であるが、このような自社運用のアプライアンス型をSaaS型に切り替えてもらうためのセールスポイントについて山本氏は「一人あたり月額いくらというサービスを利用する点においては、人数が多ければ多いほど月額費用はかさみ、従業員数が数千人規模の大企業においては、自社運用のアプライアンス型をSaaS型に変更するコスト的なメリットはない」と言い切る。しかし、それでも大企業を中心にSaaS型への乗り換えが進むのは「オペレーションコストと機器導入費用の削減」という大きなメリットがあるからだという。
大企業では、増え続けるスパムに対する管理と機器の追加が限界に達し、自社で対応しきれなくなり、SaaS型に乗り換えるケースが多いという。山本氏は、大企業に対してはこれら運用管理の軽減やメールサーバの安定稼働による事業継続性という点をアピールし、中小企業に対しては月額1ユーザーあたり数百円というコストメリットを強調して拡販していきたいという。
しかし、同社はこれまで、あまり中小企業にはフォーカスしてこなかったという。というのは、ポータルサイトが日本語化されていない、ヘルプデスクなどのサポート体制が整っていないという2つの理由があったからだという。ただ、ポータルサイトについては、現在シマンテックのローカライズチームが日本語化を進めており、今年の秋には完了する予定で、同社では、そのタイミングを待って中小企業に対する普及を強化するという。
そのため、今後は中小企業に強いパートナーの開拓と、社員の増強を図る予定で、現在7名の社員数を半年以内に倍増する計画だという。また、現在のパートナーはネットワーク系が中心だが、今後はどのようなパートナーと組むのが最適なのかの検証も進めていくという。
シマンテックと一緒になったことによるメリットについて山本氏は、マーケティングセールスを一緒に行っていける点と、シマンテックのリソースが利用できる点を挙げた。また、シマッテックが米国で展開していたSaaS型のオンラインバックアップサービスを、今後メッセージラボのサービスメニューに加えていく計画もあり、アーカイビングについても日本は需要が高く、来年度以降検討していくという。
シマンテックとメッセージラボの市場の棲み分けについて山本氏は「最終的に、アプライアンス型かSaaS型を選択するのはユーザーだが、実際には、アプライアンス型のベンダー同士が競合することはあっても、アプライアンス型かSaaS型かを迷うようなケースはない」と語る。
最後に今後の市場見通しについて山本氏は、「英国ではSaaS型が50%を越えているが、日本では現在のところ10%にも達していない。しかし、ここ数年で一気に20%程度まで急速に増加する」と語り、そのための日本法人の体制強化の必要性を強調した。