また桜井氏は、女性の農業従事者の支援について、「農山漁業に携わる女性は、家業でやっていくことが多く、自分の口座を持っている人が少ないことがわかった。これでは女性の経済的自立は困難で、まずはその道筋をつけることから始めたい。また、都市部やの販売など一次産品の商品化のニーズは高いとわかった。それをITを活用して時間と空間の制約を越えた事業に転換させてほしい」と語った。
一方、マイクロソフトの執行役で法務・政策企画統括本部長の伊藤ゆみ子氏は「マイクロソフトの考える効果的な企業市民活動は、社会的課題、政策課題にフォーカスしたものであること。そういう意味では女性の就労支援は、今後もますます社会のニーズが高いテーマになっていくものと思われ、プログラムの延長が決まった。ただし、企業としても永遠に支援を続けていくのは難しいことなので、戦略的で継続的なプログラムの構築を目指したい」と、今後3年間のフェーズではパートナーシップの重視や、持続可能性の確保、他地域、他セクターへの広がりを確保していくことに力を入れていく意向を示した。さらに、「クラウド・コンピューティングのような新技術も念頭において進めていきたい」と、マイクロソフト本体に関わる戦略も語った。
新たな3ヶ年計画で掲げる具体的な支援方法は、まずは全国女性会館協議会を通じて、パソコン講習の実施女性センターを全国から公募。同協議会とマイクロソフトが選定し、年間1~3施設、3年間で34施設の支援を行っていく。さらに、農業女性の起業支援施設と若年ニート女性の就労支援施設をそれぞれ全国6館に設置。女性支援施設の能力強化支援事業として、全国9拠点90施設を対象に、女性の就労支援のための人材を育成する研修事業を実施することが計画されている。その他プログラムが掲げている目標は、全国34施設で行われる講習の参加者が3年間で約5,500人。また、このうち35%が受講後6ヶ月以内に就労できることを目指すという。
一方、マイクロソフトでは、2008年夏から農業従事女性の起業支援のための取り組みを山梨県と岩手県盛岡市の全国2ヶ所で試行中だという。マイクロソフトの法務・政策企画統括本部の田仲愛氏は、先行事例として、ポータルサイトによる農産物の販売や、講習や情報交換サイトなどを通じたビジネスプランを持つ女性の起業支援といった取り組みを紹介した。