「対面販売は一つの手段であって目的ではない」と訴え
その後、日本オンラインドラッグ協会の後藤氏が、「一般用医薬品のインターネット販売における安全策について」と題した、業界ルール案を発表。
業界ルール案では、違法販売サイトや個人輸入サイトと都道府県への届け出済みの薬局を区別するための確認の仕組みや、薬局・店舗において掲示しなければならない事項のネット上での表記を義務付け。
また、医薬品のパッケージや箱の記載もしくは添付文書に基づいて、名称・成分・分量・効能などの注意事項を明示することや、医薬品の購入者の健康状況を把握するためのチェックボックスの導入、メールや電話を通じて相談に応じる仕組みの整備など、ネット上で可能な多くの安全策について提案した。
さらに、厚生労働省の基準に基づいた薬の種類による購入数量の制限や、薬の誤用・事故などの防止策についても、提案している。
後藤氏は、「対面販売は一つの手段であって目的ではない。あくまでも、国民に安全に平等に医薬品を行き渡らせることが大切だ」と述べ、上記業界ルール案に従えば、ネット販売でも十分に安全を確保できると訴えた。
業界ルール案を検討会での議論に生かす方針
その後、ネット販売事業者や消費者から意見があった。事業者からは、「この業界ルール案をすぐにでも実行すべき」「購入履歴を見て販売できるなどネットならではの利点がある」などの意見があった。
消費者からは、「長年水虫で悩んでいたが、ある時ネットで特効薬が見つかった。治療中の疑問や不安もメールなどのコミュニケーションで解消ができ、規制されると本当に困る」「ネットか店頭かという二者択一ではなく、消費者にもっと多くの選択肢を与えるため、規制はしないでほしい」などの意見が相次いだ。
最後に弁護士の関葉子氏が、「営業活動の自由を奪うこのような規制を法律によらず省令で行うことは、憲法に違反している可能性がある」と指摘した。
楽天の三木谷氏はフォーラム終了後、記者団に対し、「利用者の意見を聞き、ネットでの医薬品販売が皆さんのライフラインになっていることを強く実感した。検討会では、時間切れに持ち込もうという意図を感じたが、今回のフォーラムで、我々の意見を集約することができた」と述べ、今回発表したルール案を、今後の検討会の議論に生かしていく考えを示した。