筐体をコンパクトにまとめた場合に気になるのは、騒音の問題だ。筐体が小さいと内部空間に余裕がなくなり、その状態で十分な通風を確保するには、ファンによる強制空冷が必要となる。ところが、筐体が小さいと大きなファンを設置することができない。ファンやプロペラといったものは一般的に、風量が同じなら大径のものをゆっくり回す方が静かで、小径のものを高速で回すほど騒音が大きくなる。

したがって、筐体を小型化すると冷却ファンが必要になり、かつ冷却ファンの騒音が大きくなる傾向が強まる。ところが、「PRIMERGY TX120 S2」はノートPC用の省電力型CPUを使用することでCPUクーラーをファンレス化しており、大きめの冷却ファンを2個しか使用していない。実際、動作中に冷却ファンからの騒音はほとんどない。

「PRIMERGY TX120 S2」はノートPC用の低消費電力型CPUを使用しているため、CPUクーラーは自然冷却式でファンを持たない。実際には写真の部分にあるチップセット・CPU・メインメモリにダクトを被せて、左手(前面)からファンで外気を取り込んで冷やす構造になっている

こちらはドライブベイと電源の間に設置した冷却ファン。ドライブを冷却した空気が電源ユニットを通って後方に抜ける構造になっている。筐体の幅に合わせて、可能な限り大きいファンを使用しているため、その分だけ回転数を抑えて騒音を抑制できる

ただし、冷却ファンが静かになっている分だけ、ハードディスクの音が目立つ。試用した機材はハードディスクを1台しか搭載していなかったが、2台搭載してRAIDを構成する場合、ハードディスクの音が気になるかも知れない。

なお、サーバを狭いスペースに押し込めて周囲の通風を悪くしてしまうと、筐体内部の冷却効率を改善した意味がなくなってしまう点に注意したい。また、床の上に直にサーバを置くと内部に埃が溜まりやすくなり、これも筐体内部の通風を悪化させる原因になる。設置スペースを決める際には、機種やフォームファクタに関係なく、風通しが悪い場所、あるいは埃っぽい場所を避ける配慮が必要だ。