ASIC/マイコンの代替を狙う

――ただ、そういった携帯機器の市場には低消費電力、小型チップサイズを武器にASICなりマイコンなりがすでに市場を形成してますよね

そうですね。マイコンの置き換えに関しては当社のFPGAにはARMのCPUコア「Cortex-M1」の搭載が可能ですので、十分狙っていけると思います。また、FPGAですから、マイコンがサポートしていない、特に8ビット系マイコンなどでは不足しがちなシリアルの本数など、を自由に設計できることから、そうしたマイコンに足りない機能をアピールしていければと思っています。

――ちなみに、2008年は第1四半期(1-3月)から第3四半期(7-9月)までの業績が前年同期比で14.0%増の1億6,562万ドルと伸びています。第4四半期に入ると世界的な金融不安などの影響が半導体業界にも影響を及ぼしていますが、貴社への影響は

あまり詳しくは話せませんが、確かにFPGA業界にも影響は出てきています。ただし、Actelはこの1年、意欲的な新製品を出すなどかなりアグレッシブにやってきました。デザインインもコンシューマ向けを含めてかなり増えてきました。日本でも、セイコーエプソンのフォトビューワにProASIC3が採用されるなど、着実に増えてきています。

私が就任したのが2008年1月ですが、その頃からのデザインイン活動の成果は今後出てくるので、2009年以降はさらに期待してもらえればと思っています。

――今、片山さんが就任してから1年という話が出ましたが、日本に対するActelの姿勢とはどのようなものでしょう

他社も同じようなことを言ってるかも知れませんが、Actelにとっても日本は重要な市場であり、売り上げ規模としても伸びてくることを見込んでいる地域です。事あるごとにCEOを始めとした本社の重役も来日していますし、2008年7月にはエグゼクティブツアーとして役員全員で来日もしています。

アジア太平洋地域全体としてはターンキーソリューションを提供するコンシューマ向けのカスタマへの売り上げが伸びていますが、日本は独特でして、ユニークな価値(付加価値)を製品に加えるといった形で伸びています。

コンシューマ、特に携帯機器で使えるFPGAを提供していることはActelの強みになっていると思っています。それは、低コスト、低消費電力、小型パッケージを提供したからこそ、できたことであり、いくら性能が高くでも、こうした特長が無ければバッテリ寿命を気にする携帯機器にはなおさら受け入れてもらえません。

――1つ確認します。他のFPGAベンダはゲート数の数を増やすなど、よりハイエンドを目指す方向性が強いですが、Actelとしてはそういった方向には向かわないと

Actelの強みはゲート数の少ないほうにあるとおもっています。ゲート数の大きいほうは競合各社に任せます。そちらの方がその分野の製品ラインナップは豊富なわけですし、今からそこに勝負に行っても、労力の割には大した成果を出せるとは思っていません。

それよりも戦略としてはより低消費電力、低コスト、1チップ化のメリットを生かせる市場での伸長を図っていくほうが懸命だと思っています。

市場の伸び率にしても、航空・宇宙や通信もそれなりに堅調ですが、やはりコンシューマ向けの分野の方が上です。もちろん、安定領域としての航空・宇宙や通信分野で確実に利益を上げなければ、そういった伸び盛りの新規市場に資源を投入することはできませんので、そこは両輪を上手く掛け合わせてやっていければ、と思っています。