商品の分野において上山氏がまず最初に取り上げたのは「TOPVALU(トップバリュ)」という独自ブランドだ。これらは単に低価格というだけでなく、添加物や環境負荷の少ない原材料・包材を使用するというこだわりもあり、それぞれ目標数値を設け、それをクリアした商品だけを販売している。また「グリーンアイ」という自然の力を活かして育てた加工食品の展開にも力を入れている。
包材に関しては、現在、ピュアエッグ、納豆、バナナ、トマトなどの容器・包装材の一部にポリ乳酸を原料とするバイオマスプラスチックを利用しているが、今後は稲わらや間伐材、とうもろこしの茎など、食料にならない部分を利用したバイオマスプラスチックを導入していく予定だという。また、トマトジュースでは、環境保全性を高めた東洋製罐社のタルク缶を使用する実験を行うなど、環境にやさしいパッケージのあり方を多面的に検討している。
そのほか、 環境に配慮したエコロジー・リサイクルをテーマとして、衣服から生活雑貨を扱う「SELF+SERVICE」というエコショップも展開しており、ここでは、フェアトレード商品や衣料品のリサイクルを推進するプロジェクトを展開している。
現在、欧州を中心に商品の製造・配送・販売・廃棄の各段階で排出されるCO2を商品に印刷する「カーボンフットプリント」の動きが広がっているが、イオンでも経済産業省主催の「カーボンフットプリント制度の実用化・普及推進研究会」に参加しており、上山氏はその委員を務めている。この研究会では、商品供給におけるCO2排出量の算定ツールの開発、算定・表示・評価に関するガイドライン作成、運用に関する検討を行っているが、上山氏は「カーボンフットプリントは何を目的に導入するのかを明確にした上で、どの過程でどれくらいの排出量があるのかを消費者に正しく伝えていくことが重要だ」と述べた。
物流については、「その土地で生産したものをその土地で消費する地産地消がもっとも環境負荷が少ない方法であり、重要な政策である」と述べ、イオンでは環境負荷の低い船舶や列車などを活用したモーダルシフトや、空車の戻り便を活用した効率的な配送方法を設計し、効果を確認しているという。上山氏は「物流における温室効果ガスの削減は、トラックの走行距離をいかに減らすかということであるが、そのために需要予測を明確にしたITシステムの活用も必要である」と述べた。イオンでは、配送車両の見直し、配送距離の削減、積載効率の向上、業務フローの見直し、廃棄物の削減のための配送支援システムを導入しているという。