製造はクリーンルーム内で

光海底ケーブル中継器の工場内は、クリーンルームとなっているため、作業者は、防塵服に身を包み、エアーシャワーを浴びたのち、工場内に入る。

製造工程は、中継器の中に収められるユニットの製造から始まる。ユニット製造工程は、「プリント板組立」「モジュール組立」「システムユニット組立」「特性試験」「ユニット組立」と進んでいく。

プリント板組立工程

モジュール組立工程

システムユニット組立工程

振動試験

完成したユニットは、輸送や敷設の振動に耐えられるかを試す「振動試験」を経て、中継器の容器に収める「中継器組立」後、中に水や空気が浸入しないように電子ビーム溶接機で封止される。そして、海底と同じ水圧環境下での最終試験を経て、出荷に回される。

封止状態をチェックする機密試験棟。ヘリュームガスを使って、海底8000メートルと同じ状況を作り、テストする。ヘリュームを使うのは、原子が小さいため、僅かな隙間をチェックするのに向いているためだという

温度特性を調べる最終試験室。海底での摂氏2度から敷設船での摂氏35度を想定して試験を行う

完成し、出荷を待つ中継器

ケーブルと接続された中継器

海底ケーブルの経験と技術と活かす緊急地震速報システム

またNEC山梨では、海底ケーブルの経験と技術を緊急地震速報システムに活かし、海底地震計や海底津波計の製造も行っている。これらに利用されている津波計や地震計は、通信システムと内容は異なるものの、これを包む筐体や敷設方法は海底ケーブルの中継器の技術をそのまま利用できるからだ。また、需要が比較的安定しているという理由もある。今井氏は「海底ケーブル事業は急成長するという分野ではないので、安定的な成長を目指し、設備投資、人員配置を行っていきたい」と述べた。

海底地震観測システム