「Wind Riverは必ず勝ち組になる」組み込みLinux戦略
こうした同社が近年力を入れているのがLinuxを始めとするオープンソース事業だ。もともとLinuxはリアルタイムOS(RTOS)には向いていないが、RT Linuxの資産を買収してRTOSの機能拡張を試みたり、VxWorksでのノウハウをLinuxの製品ポートフォリオに組み合わせるなど、同社ならではの強みを生かした製品戦略を推し進めている段階だ。
米Wind RiverシニアバイスプレジデントでLinux製品部門ジェネラルマネージャのVincent Rerolle氏 |
米Wind RiverシニアバイスプレジデントでLinux製品部門ジェネラルマネージャのVincent Rerolle氏は「クローズドな世界ではコアを含めて周辺の環境がすべて特定のベンダから提供されていたが、オープンソースの世界では他のモジュールに加え、サードパーティの製品を組み合わせる形態が一般的だ。各種ツールはオープンソースで提供され、プロトタイプの作成には十分かもしれないが、それを実際に製品化するにはもう一段階壁がある。こうしたギャップを埋めるのがWind RiverのLinuxソリューションだ」と製品の位置付けを説明する。
Linuxプラットフォーム戦略においてはOSのような下層レイヤだけでなく、ミドルウェアやアプリケーション部分の上層レイヤまでをもカバーした戦略が推し進められる。その典型的なのがAndroidのような携帯機器とMID端末だ。Rerolle氏によれば、GoogleとはAndroidが具体的に製品化する2年以上前から協業を進めており、Androidのかなり初期の段階からコード部分で連携を進めているという。こうした経緯もありOpen Handset Allianceでは公式の商用パートナーとして位置付けている。
同様のパートナー戦略は同じく携帯向けLinuxソリューションを開発するLiMo Foundationや、IntelのAtomを利用したMID端末プラットフォーム「Moblin」などとも行われており、「3社のどれが勝ってもWind Riverが勝利者になる」(Rerolle氏)という3方向戦略を採っているのが現状だ。