デモの説明を行う青木教授

「GPUのアクセラレータ的使い方と言われると、一部分の加速と思われるが、それはGPUをPCのシステム上の1ボードとして使用した場合。GPUのシステムのみで計算させることができる"フルGPU"とすることで、より高速な計算が可能となる」(同学術国際情報センター 教授 青木尊之氏)であり、「特に流体計算などはベクトル計算に向く」(同)とする

実際のGPUを用いた計算としては、単純なもので、CPUの処理でコマ送り程度のものがGPUで処理すると流れるような動きとなり「50倍程度の違いがある」(同)とする。また、具体的なものでは、自動車の空力計算のような非圧縮性流体計算や、爆発や衝撃波などの圧縮性流体によるレイリーテイラー不安定性、津波のリアルタイムシミュレーションなどで効果を発揮するという。特に津波のシミュレーションは、「現状の予報はデータベースを基に予測を立てているが、データベースに対するパラメータスペースが広く必要であり、精度もそれほど高くない、TSUBAMEでは地震発生直後のリアルタイムシミュレーションが可能であり、計算だけなら10秒で終わる」(同)という。

単純な画像処理(左がCPU、右がGPUでの処理)

GPUを用いた非圧縮性流体計算

圧縮性流体のシミュレーション(いずれの画像も左がCPU、右がGPU。移り変わりの速度がまったく異なる)

松岡教授はGPUのスパコン適用に対し、「これはあくまで始まりである。今後はGPUがスパコンの主流となるときがくる。我々は2010年、GPUが本格的にHPCに持ち入れれるようになっていると考えており、その時にはGPUを用いてTSUBAME2.0を完成させ、1PFlopsを達成したい」としており、TSUBAME1.2のような拡張ではなく、設計の初期段階よりGPUの使用を想定しているため、よりGPUを活用したシステムとなるとしている。

なお、TSUBAME2.0の構成の考え方としては、「TSUBAMEのユーザは幅が広く、人によって使い方が異なる。そのため、それらすべてを満足させることが目標。ソフトウェアのインフラも現在から連続したものを、と考えている。各ノードの構成としては、小さいノードから大きいノードまで揃える形となる」としており、場合によってはユーザのデスクトップからそのままスパコンに移れるようにもなるという。